「地方分権推進フォーラム'99inえひめ」の概要について
自治総合センター
はじめに
去る8月24日、松山市内において、地方分権を活かした地域づくり・暮らしづくりを考えるために、自治総合センター、地方六団体、愛媛県、松山市との共催で、「地方分権推進フォーラム'99inえひめ」を開催した。
愛媛県内はもとより、全国各地から行政関係者をはじめ、地方議員、一般市民など850名を超える皆様にご参加いただき、大盛況のうちにフォーラムを終了することができた。
加戸守行愛媛県知事の開催挨拶ののち、さわやか財団理事長の堀田力氏から、「安心して生きられる場の保障」という演題で、ご講演をいただいた。
パネルディスカッションでは、東京大学教授の森田朗氏をコーディネーターにお迎えして、パネリストには、愛媛県知事の加戸守行氏、松山市長の中村時広氏、松山市出身のキャスター山岡三子氏、愛媛新聞社報道局長の矢野良二氏、梅錦山川?社長の山川浩一郎氏が出席し、「地方分権-個性輝く地域づくりは自分たちの手で」をテーマに、今後の地方分権のすすめ方、自治体職員、住民の意識改革等について、パネリストそれぞれの視点から活発な議論が交わされた。
基調講演
「安心して生きられる場の保障」
基調講演で堀田氏は、7月の地方分権一括法の成立により、国と地方自治体の関係が「上下・主従」から「対等・協力」の関係へと転換することとなったのは、「大変な進歩である」と評価した。
住民にとって、一番望ましい地方分権のあるべき姿とは何か。「例えば、地方自治体にある出先機関は、本来は、その地域に密着した事務なのだから、すべてその地方自治体で受け入れて、その自治体に合う形にアレンジして仕事を進めていく。これが地方分権のあるべき姿だと思う」と述べられた。
そして、堀田氏は、来年の4月からスタートする『公的介護保険制度』こそが、「地方分権の始まり」と「住民が安心して生きられる場を保証できる」ように、同制度に対する地方自治体の積極的な取組みを促した。
同制度の導入において、地方分権で地方に権限が任されれば、頑張った市町村は、いいサービスを提供でき、そうでない市町村はそれが提供できないのであるから、「不公平」になるのは、当たり前である。
それはむしろ「いい不公平」と考えるべきである。
さらに、住民にとって、となりの市町村との格差が見えるということは、地方選挙の際の判断材料となるため、市町村間に競争原理が働き、サービスの向上につながる。
また、「住民の保険料の負担とサービスの選択との関係」については、市町村の「基盤整備」と「住民への情報公開」が大切である。
「基盤整備」については、業者、施設の選択に幅を必ず持たせ、営利団体は必ず複数とし、また非営利団体をいれることにより、営利団体の独走を許さない。「住民への情報公開」については、選択についての十分な情報を与えることが必要である。
最後に、堀田氏は、「この制度によって介護を受ける人は、責任を持って見てもらえ、さらに、家族がいようといまいと、地域住民のボランティアのサポートにより、心の交流まで図っていく、そういう仕組みがこの制度には必要である」と強調され、講演をしめくくられた。
パネルディスカッション「地方分権〜個性輝く地域作りは自分たちの手で」
冒頭コーディネーターの森田氏より、「1995年に地方分権法が制定され、地方分権法に基づき地方分権推進委員会が設置された。そして、地方分権推進委員会の勧告により機関委任事務が廃止され、必置規制が緩和された。これにより国と地方の立場は対等になった。