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自治だより 7月号 No.132

 事業名 地方自治情報啓発研究
 団体名 自治総合センター 注目度注目度5


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地域における歴史の活用について

童門冬二(作家)

 

現在、地方においてはきびしい行財政改革が続いているが、しかしだからといってすべてが後ろ向きの改革ばかりではない。前向きの改革もある。そのひとつとして、「地域における歴史の活用」がある。これは、その地域が生んだ歴史的人物や、あるいは事件などをいわゆる、「その地域が発信する情報のコア」に活用する例だ。はっきりいって、これはあまり金がかからない。一言でいえば、「認識の問題」である。つまり、「その地域において、地域の生んだ歴史上の人物や事件を、どのように解釈し、評価しているか」という考え方さえ合意をうめば成り立つ営みだ。しかしともすれば、その発信する情報の内容が、「この人物は、これほど偉かった。うちの地域は、その人物を育てた場所だ」というような、自慢話や吹聴話が多い。地域がその歴史上の人物や事件を発信するとなれば、次のような条件が必要だ。

・まず、その地域の人々が、その歴史上の人物や事件に対して、どのような認識をしているのか。

・それはプラス評価なのか、マイナス評価なのか。

・プラス評価だとすれば、その内容はどんなものか。

・プラス評価した内容が、いま住んでいる人々にどういうように役立っているのか。

・それを役立てたことによって、どういう成果が生まれたのか。

ということである。違ったいい方をすれば、その地域の人々が、

・我々は、この地域が生んだ歴史上の人物や事件を、このように解釈している。

・そして現実に、こういうプラスの効果を得た。

・このことは、我々地域だけで独占しているのはもったいないので、他地域でも活用していただきたい。

・活用していただきたい内容は、こういうことである。

という形で発信すべきだろう。

が、全国の地方における歴史上の人物や歴史的事件の活用方法を見ていると、必ずしもそうではない。やはり依然として、「エライ、エライ」という褒め言葉だけで、それをただPRしているような気がする。これだと、「観光の対象」にはなっても、「他地域で、その事実を生かして活性化の素材として活用する」というまでにはならない。いい例が、例えば大河歴史ドラマによって舞台とされる地域の実態だ。大河歴史ドラマに登場する地域は、いっせいに奮い立って、「実行委員会」をつくる。これはけっこうだ。そして、大いにPRをする。が、そのPRの底には、必ずしも冒頭に書いたような、「大河ドラマ化されることによって、我々が過去の歴史をどう生かしているか」ということまでには発展していない。ただ、「あのドラマの舞台は、ここです」「主人公は、ここで生まれ育ちました」という程度のものに過ぎない。だから、悪口をいわせてもらえば、「ドラマが終わればそれまでよ」ということになる。残ったのは、売れ残りの"あやかりまんじゅう"や"あやかりグッズ"だけだ。これでは結局、せっかくその地域が大河歴史ドラマの舞台になったとしても、いわゆる、「一過性のもの」で終わってしまう。そういうむなしい例を、わたしは日本全国を歩いていてずいぶんと感じた。具体的に例を挙げれば、その地域を傷つけることになるから書かない。しかし、こういうだけで思い当たることのある地域もたくさんあるはずだ。

わたしの仄文(そくぶん)するところによれば、自分の地域が生んだ歴史上の人物を大河ドラマの主人公にしてもらおうという運動が、日本の各地でかなり活発化しているという。場合によっては、首長や国会議員にも加わってもらっているようだ。

 

 

 

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