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5]ヨットモーターボート税

ヨットモーターボート税は神奈川県三浦市において、昭和51年10月から導入された税である。この税は市の区域内を定置場としているヨット又はモーターボートの所有者に対しヨットについては1隻当たり全長により7,000円から18万円を、モーターボートについては9,000円から30,000円を課税するものであるが、実施後、税の徴収率がきわめて低い点が指摘された(昭和56度の徴収率73.4%)。その理由は、本税の場合課税客体の把握が所有者からの申告にあったこと、しかも、所有者の相当部分(課税対象約1,300隻のうち7割以上)が東京など県外居住者であったためといわれる。

本税は全国で初めての試みとして注目を浴びたが、発足当初から所有者側の強い抵抗もあり、結局昭和56年9月をもって廃止された。

 

6]文化観光施設税

文化観光施設税は、文化財の鑑賞(拝観)行為を課税対象とし、その拝観者に課する税であり、文化財があるために、その拝観を目的とした観光客等が集中することに伴う道路、駐車場等の観光施設の整備のために必要となる特別な財政需要に対処するため設けられた。文化観光施設税は、昭和31年に京都市において「観光施設税」が創設されたのが始まりであり、昭和60年度には4団体が課税していたが、平成5年度をもって廃止された。文化観光施設税には、文化財の拝観(鑑賞)行為に課税することが信教の自由を阻害することにならないかという問題や、文化財を所有する社寺等との理解と協力が不可欠であるという税理論を超えた問題があった。

 

7]商品切手発行税

商品切手発行税は、商品切手の発行が、活発な消費活動を前提としていることから、極めて都市的な要素が強く、また課税客体の把握が容易で、徴税費が安く、徴収率が極めて高いことから、政令指定都市等の大都市及びその周辺都市を主体として、高齢化社会に向けての住民福祉の増進、中小企業振興対策、都市基盤の整備・充実等の事業を行うための財政需要に充てるたあに課税されてきた。商品切手発行税は、昭和5年8月、当時の東京市が市町村法定外独立税として創設したことに始まり、その後、この税が都市的税目として適していること、その伸長性も十分期待できることから徐々に課税団体が増加し、平成4年度までは18団体が課税を行っていた。しかし、「消費税との二重課税である」、「課税団体と他の団体との間で商品切手の販売価格の格差があり、不公平である」、「サービスの給付・プリペイドカード等への課税問題など経済行為の広域化や消費活動の多様化による社会経済情勢の変化により、負担の公平が確保できない」といった批判的意見が多かったことや、国会等においても商品切手発行税の不合理性が指摘されるケースがあり、自民党税制調査会の平成4年度税制改正大綱の中で特記事項として「法定外普通税である商品切手発行税については、課税団体における自主的な見直しが適時適切に行われるよう関係方面へ要請することとする。」旨示されたことなどから、平成6年4月をもって廃止された。

 

 

 

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