日本財団 図書館


19 近年の法定外普通税の改廃の状況(昭和50年度以降)

 

1]犬税

犬税は畜犬の飼主に対し、1頭当たり数百円を課税する税で、課税団体は昭和30年度に2, 686団体であったが、逐年減少し、長野県四賀村(昭和56年度まで課税)を最後にすべての団体で課税が廃止された。廃止の理由としては、税収額が極めて少額であり(四賀村の場合、昭和53年度の税収額は168千円)、徴収コストが高く、存続させる必要がなくなったことや犬税固有の問題(狂犬病予防法との関係等)によるものである。

 

2]広告税

広告税は広告を課税対象とし、広告料又は個数若しくは表示面積を課税対象として、広告主を納税義務者とする税である。大阪府高槻市、茨木市、(共に平成2年度まで課税)を最後に廃止された。課税の仕方は高槻市の場合、電光又は電気照明、野立看板に対しては、3.3平方メートル1,200円、それ以外の野立看板については、3.3平方メートル当たり960円を課税とするものであり、茨木市の場合は、電光看板に対しては0.5平方メートル当たり180円、アドバルーンに対しては広告料金の10%を課税するものである。両団体の場合とも廃止の理由は、広告税収が零細で(高槻市の場合、平成2年度決算額3,002千円、茨木市の場合、同11,619千円)、税収に比して徴税費用がかかり過ぎることのほか、広告媒体の多様化(テレビ、ラジオ等々)により課税の公平の確保が困難となったことがあげられる。

 

3]林産物移(輸)出税

林産物移(輸)税は炭林の移輸出又は、従量1立方メートル70〜250円か価格の2/100〜3/100を課税する税である。長野県開田村ほか5村において昭和63年度まで課税されていたが、消費税の導入により木材引取税が廃止されるのを受けて、二重課税を理由に平成元年3月をもって廃止された。

 

4]古都保存協力税

古都保存協力税は京都市において、昭和60年7月から昭和63年3月末まで施行された税で、文化財の観光行為を課税客体とし、1回当たり50円を課税する税であった。課税対象となる社寺等は、京都市古都保存協力税条例に定められる40社寺であり、社寺の選考基準は鑑賞の対象となる建造物、庭園その他の有形の文化財でその鑑賞について対価の支払いを要しつつ、かつ、年間の鑑賞者数が相当数以上見込まれるものであるとされていた。本税実施による収入見込額は、年間10億円程度、10年間で100億円程度で、京都市の文化財保護事業、景観保存事業、観光道路保存事業、建都1200年記念事業等に充当するものとされていた。しかし、実際には、本税を実施した時点で40社寺のうち21社寺は無料公開又は拝観廃止をしたため除外され、徴税の対象は19社寺でスタートしている。そして、本税は当初10年間の時限立法とされたものの、導入をめぐる市側と社寺側との対立がとけず結局実施から2年9ヶ月後の昭和63年3月末に廃止され、短命に終わっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION