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第3に、年金税制については、現在、掛金の拠出は社会保険料控除により全額課税ベースから除かれ、給付も公的年金等控除(一時金については退職所得控除)や老年者控除により実質的に課税ベースから除かれており、世代間の公平の観点から高齢者層に対しても適切な負担を求めるため、年金税制について拠出、運用、給付の各段階を通じ、全体として適切に課税が行われるよう見直しを図る必要がある。

 

(3) 法人事業税

本来、地域における住民の日常生活や産業活動を支える地方団体の行政サービスは安定的に供給される必要があり、その財源の根幹をなす地方税は、できる限り、安定的で税収の変動が少ないものであることが求められる。しかしながら、現行の都道府県の税制に着目してみれば、法人所得に対する課税が大きなウエイトを占めているため、経済情勢の影響を受けやすく、特に、バブル経済崩壊以降は、極めて不安定な状況が続いているのが現状である。こうしたことから、現在、都道府県の最大税目である法人事業税に外形標準課税を導入し、都道府県税収の安定化を図ることが重要な課題となっている。このため、1998(平成10)年4月に、政府税制調査会において地方法人課税小委員会が設置された。同小委員会は、地方の法人課税のあり方について、法人事業税への外形標準課税の導入の課題を中心に審議を重ね、1999(平成11)年7月に報告をとりまとめたところである。

この報告を受け、政府税制調査会「平成12年度の税制改正に関する答甲」(平成11年12月)では、この外形標準課税について、「…外形標準課税の導入は、地方公共団体の税収の安定化を通じて地方分権の推進に資するものです。また、応益課税としての税の性格の明確化につながるとともに、地方団体の提供する行政サービスによって受益を得ている法人が薄く広く税を分担することを通じて、税負担の公平化につながることとなります。さらに経営努力等により利益のあがっている企業の事業税負担が相対的に軽減され、法人全体で薄く広く税負担を分かち合うことにつながることから、より多くの利益をあげることを目指した事業活動を促し、経済の活性化、経済構造改革にも資するものと考えます。このように外形標準課税の導入は、地方税のあり方として望ましい方向の改革であり、景気の状況等を踏まえつつ、できるだけ早期にその導入を図ることが望ましいと考えます。」としている。

 

 

 

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