日本財団 図書館


さらに、少子・高齢化の進展に伴い現役世代の割合が減少し、納税者の減少ひいては個人住民税収の減少につながることが見込まれることから、社会の構成員が広く負担を分かちあう税制の構築が必要である。

個人住民税は、

1]これまでも地方公共団体の税収確保上基幹的な税として位置づけられていること(平成10年度決算で個人道府県民税及び道府県民税利子割が2兆7,940億円(道府県民税に占める割合18.2%)、個人市町村民税が6兆5,242億円(市町村民税に占める割合31.7%))、

2]納税義務者数が平成11年度で約5,563万人に上り、多くの住民が地方公共団体の費用につき広く負担を分任していること、

3]福祉等の対人サービスをはじめとした地方公共団体からの受益に対する負担として対応関係が明確であること、

4]地方公共団体毎に見ても税収の普遍性が認められること

等から、このような地方公共団体におけるアカウンタビリティを確保できる性格を有するものである。

このため、個人住民税に関し、次の3項目について充実等を図り、少子・高齢化の進展及び地方分権の推進に対応しうる税制として再構築していくことが必要である。

第1に、国と地方との税源配分を見直し、個人所得課税において個人住民税が占める割合を拡大することが必要である。

現在個人住民税の税率構造については、既に緩やかな累進構造となっているところであるが、その理由は個人住民税が地域社会の費用を住民がその能力に応じて広く負担を分任するという独自の性格を有していることにある。

しかしながら、個人所得課税における個人住民税の割合の拡大に際し個人住民税の累進税率構造を維持した場合には、地域的な所得水準の格差以上により大きな税収の格差が生じるため、税源の偏在拡大への対処方策としては、個人住民税の税率構造のよりフラット化を図ることも考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION