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はじめに

 

本市は、急激な人口増加を経験した自治体の宿命とも思われる学校・道路・下水道等の生活関連など社会資本整備の面で、やや遅れぎみなのが実情である。

このため、計画的・効率的に整備を進めるためには、十分な財源確保が必要であるが、バブル崩壊後の社会情勢の不安定さ、併せて市税の減収等、財政事情も厳しい状況にある。

こうした中で、民間の資金や経営ノウハウ等の活用により、社会資本整備を行う新たな手法としてのPFIが注目され、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」いわゆるPFI法が昨年9月に施行された。

千葉市では、いち早くこの手法に着目し、平成10年6月に庁内研究組織として「新社会資本整備研究会」を設置し、PFIに関する調査研究を行ってきた。PFIの研究の中で、民間資金や技術ノウハウの活用に当たっては、以前から、「千葉ポートスクエア」や「中央コミュニティセンター」など、既に取り組んできた事例もあり、この蓄積されたノウハウをより一歩推し進め、いわゆる「千葉市版PFIモデル事業」として、「消費生活センター・計量検査所複合施設建設事業」に着手することとなった。

現在、事業者の公募等、事業推進に当たっての準備作業を進めているが、PFI法で定めている国の基本方針が公表されていないことから、現状での取り組みについて可能な限り記述することとする。

 

1. 消費生活センター・計量検査所複合施設の整備

 

(1) 現状と課題

さまざまな消費者問題の増大を背景として、昭和43年に消費者保護基本法の施行、平成2年に千葉市消費者保護条例の施行と、消費者問題に関わる行政の施策体系が制度化されてきた。本市は、昭和53年に経済部にあった消費対策課を市民生活部に移すとともに、消費生活センターを開設し体制の強化を図ってきた。

しかしながら、消費者問題はますます多岐にわたり現状の施設や体制では十分な対応が難しい状況となってきた。特に消費生活センターは十分な空間を確保できないため相談者のプライバシーへの配慮や消費者への学習スペースの提供など、さらには商品事故の未然防止やトラブル防止等のために必要な商品テスト室等が確保できない状況にある。

また、計量検査所にあっては、計量法の改正に伴い「公的質量標準体制の改革」すなわち、計量の国際標準化が図られる中で、計量検査業務の適正化が求められている。この適正化にあたっては、温度・湿度・振動などの環境条件が保たれなければならないが、現状の施設(プレハブ構造)ではこれらの条件を満たすことはできず、現状施設の改善が急務となっている。

 

 

 

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