日本財団 図書館


10. 価格と支払いのメカニズム

 

10.1 はじめに

 

10.1.1 支払いのメカニズムは、リスクと責任の当局=事業者間配分に金銭的な影響を与えるため、契約の中核をなすものである。そうしたメカニズムが当局の事業者に対する支払いを決定し、事業者がサービスを金銭的な価値を持ち得るような方法で、要求されたとおりに行おうとするインセンティブを確立する。本章は【7. サービスの必要条件と利用可能性】および【9. 履行の監視】と併せて検討することが必須である。

 

10.1.2 本章は、主として当局によって支払いがなされ、その支払いが使用よりも、むしろサービスの利用可能性と利用可能なサービスの履行によって左右されるプロジェクトに焦点を当てている(要求があってから総計の支払いが行われるプロジェクトが扱われている【10.2.3】を参照のこと)。

 

lO.2 支払いメカニズムの特徴

 

10.2.1 一般化するなら、支払いメカニズムの重要な特徴とは以下のとおりである。

・ サービス提供に対する支払いは、サービスが利用可能になるまで、いっさい行われない(だが、【3.2.5】および【3.6.4】を参照のこと)

・ 利用可能性もしくは履行については、個々の独立した要素から成るのでないサービスについては、ただ一度の一括請求が行われなくてはならない。

・ ただ一度の一括請求は、サービスが利用可能である(利用可能な場所もしくは区画の数に比例して)かぎりにおいてのみ、支払われる。

・ 支払いメカニズムは基準以下の履行を理由に減額を求めることにより、要求されたサービスが提供された場合に比べて事業者が経済的に苦しくなるものでなくてはならないが、減額は不履行の重大さを反映するものでなくてはならず、サービス提供がいっさいなされなければ支払いはいっさいなされず、軽微な不履行は最高でも軽微な減額しかなされないようにすべきである。

 

10.2.2 PFIの基礎(すなわち産出とサービスの仕様)は、一括請求が投入、すなわち建設段階の完了、原材料もしくは労働の経費が投じられたことに関連する副次的要素の集成ではないことを必要条件とすべきである。とくに、支払いメカニズムには、事業者が履行と無関係に受領する(すなわち事業者の債務返済の義務をまかなう)固定的要素が含まれないようにすべきである。融資者は、借り主の、履行する能力および事業者が瑕疵ある履行を是正する能力を信頼する(すなわち、技術アドバイザーからの技術的助言が関係する場合は、これを考慮する)べきである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION