日本財団 図書館


それから、何かこれらが競争競争の手段みたいになっています。もともと環境をよくしようとしていたねらいと、正直言って担当している人間がこんなこと言っちゃいけないんですが、時としてジレンマに陥るようなものがあるんですが、やっぱり本当に何が必要なんだとか、何のためにやっているんだということを意識しながら、やっていきたいと思います。幾ら理屈言っても環境保全と経済性が両立できないといけないというの私の宿命でございまして、そこら辺を突き詰めていこうというのが今の状況でこざいます。

○石 30年前には環境担当者はむだ金使っていると白い目で見られていたのが、今忙しくなったんだからいいことじゃないですか。

○仲手川 そのとおりですね。本当多分みんな忙しいんじゃないかと思います。

○石 じゃ、最後に市川さん、どうぞ。

○市川 先ほど日本が2,338件ということ申し上げましたが、日本の皆さんの非常なまじめな性格ということもありますが、とうとうISO14001では世界一になっております。6月現在のデータを見てみますと、日本が2,229、ドイツが1,400、イギリスが947、あとスウェーデン、台湾、アメリカというふうに続いてきております。日本はいろんな意味で世界の14000については先駆的な働きをしているわけです。

それから、中小企業の方、これがぼつぼつではありますが、取り始めています。大体10%ぐらいが中小企業の方です。それで、中小企業がなぜ取るのかということなんですが、経営のいい教科書として14001を使っていこうと考えていらっしゃるようです。ワンマン社長がずっと頑張ってきたけれど、少し会社としての形態を整えたいというような場合に、14000使うと非常にやりやすいというところがあります。

それから、ISO14001の数が多くなったということで、やはり社会的な広がりが出てきているなと思います。その一つの典型ですが、環境声明書はかなり強制的なニュアンスもあるわけですけど、これとは別に、皆さん環境広告というのを結構出していらっしゃいます。テレビあるいは新聞で、うちはこんな環境行動をしていますよと、それから14001を取りましたよという広告を出すわけです。14001を取ったということと伴に、環境方針、あるいは環境に対する姿勢というのを出していらっしゃいます。富士ゼロックスさんもそうですけど、ゼロ・エミッションなんていうのがあちこちから出てきています。逆に言えば、テレビを見、新聞を見てる人が、ああ、会社というのはあそこまでできるんだなという理解とレベルアップができる。よそがやっているのにおたくはどうしてできないんですかというそういう質問、あるいは詰問というのが世の中からだんだん出てくるんじゃないかというふうに思うわけです。ここにきまして、いかにして環境貢献しようかという企業の環境競争の時代に入ってきています。余り加熱し過ぎるとこれ困るということになるかもしれませんけれど、少なくともポリシー、姿勢としてこれを明確に出して、そのための行動をやっていくと、こういうことが今日本の中でだんだんでき上がってきているんじゃないでしょうか。ISOは外から入ってきたと言ってよろしいんじゃないかと思いますけど、日本がこんなことをやっていきますということを、あるいは日本がやっていることを世界標準にしたら世界の環境よくなるんじゃないですか、ということがこれから言えるようになってくるんじゃないかなとひそかに期待しています。

 

040-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION