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そしたら昼間はぼろぼろのシャツ着て、ジーンズはいて、地球を守れとやっている人間が、夕方になったらぴかぴかの背広に着かえて、ポルシェに乗って遊びに行くというシーンを全部撮っちゃったわけです。それで、非常に皮肉な番組ができまして、環境、環境って騒いでいるやつが何だといって、もちろん撮られた側から訴えたわけでありまして、大変おもしろい論争が続いておりましたが、そういうことがなきにしもあらずなんです。それは一つには、いきなり私たちの生活を変えて地球に優しい生活をしろ、地球に優しいということはおのれに厳しいことでありますが、そういう生活しろといっても、それはなかなか変わるもんじゃないんです。ぜいたくは敵ではなくて、ぜいたくはやっぱり素敵なんです。ですから、その中で私たちがどう折り合いをつけていくかというのが、今後のやはり環境問題の一つの大きな行く末だろうという気がいたします。そのために、まず無理のないとこから私たちはひとつ生活をスリム化していくと。それから、もちろん技術開発もあるでしょうし、それからそれぞれの今度は組織体がどのように努力をすることもあるでしょうし、総力戦なんです。これだけ環境悪くなったの過去50年のことであります。ですから、50年間やりたい放題やってきたわけです。ですから、地球がある意味ではもう一つの成人病みたいなもんでありまして、運動もしない、食いたい放題食い、飲みたい放題飲み、たばこも吸いたい放題吸っているわけです。それで、ぼろぼろの成人病にしといて、さあ、おまえ治してみろと、おまえ医者だろう、治せって言ったって、じゃあなたは規則正しい生活をしますか、酒飲みやめますか、ちゃんと運動もしますか、じゃ一緒に考えましょうというの筋でありまして、今はやりたい放題やりながら、さあ、治してみろって言われたって、これはとてもじゃない無理な話なわけです。ですから、私たちはまず健康な生活を取り戻すのが先でありまして、さあ、それからどうしたら少しでもこんな病気よく治していけますかというふうになるんだろうというふうに私は考えております。

 

 

 

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