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基調講演

 

「環境問題と私たちの役割」

 

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東京大学大学院教授

石弘之

 

きょうは暑いですね。暑いと地球が温暖化しているような気がします。93年のような寒い夏になりますとすっかり忘れちゃいますが、けさの新聞を皆さん読まれたと思いますが、きょうは1999年9月9日という9が五つ並ぶ日で、何かコンピューターが今日あたり故障を起こしそうだという話もけさ新聞に出ておりましたが、子細に読んでみますと、いろんな環境の記事が出ております。例えば南極で大規模なオゾンホールが今年も現れたとか、石垣島で珊瑚礁がさらに死んでいるとか、あるいは海への不法投棄が急増しているといった記事が、三つの新聞で七つぐらい出ていました。それ以外にも、投書欄とか、最近は不動産屋さんも大変環境問題に熱心でありますので、不動産の広告にもいっぱい環境、環境って並んでいます。そういうわけで私たちの日常に今、環境という文字が随分あふれ返っているわけであります。私はもう三十何年間か環境問題やってきたわけでありますが、最初のころは私なんかがいろんな汚染を書くと、「おまえばかだな。これだけ日本の経済が成長したんだから、空気や水が汚れんの当たり前じゃないの。何寝ぼけたこと言ってんの」といって周りがけげんな顔したもんです。わずか三十数年前の話です。

 

 

 

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