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第3章 将来像実現に向けて活かしうる中球磨地域の資源

 

本章では、第1章で述べた将来像で示された目指すべき方向性に迫るためには、将来ビジョンに掲げられた方策を含めてどのような方策が考えられうるのかを念頭に、6つの領域ごとに、まず活用しうる資源を検証することとする。

地域の資源として考えられるものは、人的・物的資源、歴史的・文化的資源など多様であるが、本章ではできるだけ幅広く捉えることとし、「魅力ある地域づくり」の素材として活用できるかどうかを基準に検討する。

 

1 農林業

(1) 恵まれた農業基盤

中球磨地域は、第2章で述べたとおり、水田、畑をあわせた農業基盤整備率は、非常に高い。こうした生産基盤を活かして高収益作物の栽培など積極的な農業が可能である。

 

(2) 農産物

中球磨は、上記で述べたような恵まれた生産基盤を背景に稲作の他、梨、露地メロン、葉たばこ、い草などの栽培、肉用牛の肥育などが5か町村内各地で実施されている。また、多角的に経営を行っている先駆的な農家も数多くあり、こうした人的資源を活かして各農産物の質の向上及びブランド化への取り組みが可能であると思われる。

 

(3) 農産加工品

上村のウコンや免田町の幸福ワイン、須恵村の梨ワイン、深田村のいちごワインなど地域内外の加工施設により地域の特産品として加工・製造・販売がなされている。

このような、中球磨の農産物を活かした農産加工品の加工・製造・販売は、外部からの企業の誘致が非常に厳しい折、農業に付加価値をつけ、高次化させ「安定した雇用」にもつながる重要な資源となる。

 

(4) 人的資源

多角的な営農を実施している農家を始め、中球磨地域には様々な経営を行っている数多くの農家が存在している。

有限会社アクア農園(免田町、深田村)のように法人組織化した農家が発生しており、また、アイガモを利用した、無農薬有機栽培を目指す農家(上村、須恵村)や、菊を栽培して高収益を挙げている農家(深田村)、県外に独自の販路を有する農家(免田町)など自主的・主体的な先駆的な取り組みがなされている。

また、いちごやブルーベリーの観光農園の経営者もおり、これら観光農園は中球磨の特産品の販路拡大や農業体験の場としても重要である。特に深田村のいちご農園は、くま川鉄道とタイアップしたいちご列車や、いちごワインの販売(製造は山梨県のワイン工場)を行っており、観光資源としても注目される。

 

 

 

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