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その地域に住む人々の心にゆとりと潤いがあれば、他の地域から中球磨を訪れる人の心を暖かく迎え、癒すことができ、また「豊か」にできる。住む人々の心の「豊かなまち」を目指すということは、外部から見て、人を惹きつける魅力のあるまちづくりを目指す理念なのである。

『そして、夢ふくらむ「中くま」』とは、行政と企業と住民が協働して、5か町村を合わせた中球磨という大きなキャンバスの上に、思い切ってまちづくりの多様な夢を描くことが出来るということを指す。中球磨に住むお年寄りから子供たちまで一人一人が、自立し安心して生き生きと暮らすことの出来る優しい魅力を持った心の「豊かなまち」、そして、進取の気概を持った気持ちの「若いまち」を目指して、自発的に主体的に地域の資源と魅力を活かして様々な取り組みを進めていく。そしてそういった意味において、『夢ふくらむ「中くま」』なのである。

つまり、『将来ビジョン』が掲げる『若いまち豊かなまちそして、夢ふくらむ「中くま」』とは、気持ちが若く、活気があり、心が優しく豊かで、主体的に明るい未来を築いていこうという創造力がある、そんなまちづくりを目指すということなのである。

 

2 将来像の6つの柱

前節で述べたような、将来目標に至るための中心となる取り組みとして、『将来ビジョン』では6つの柱を設定している。以下、その6つの柱が目指している方向性を確認する。

 

(1) 先進的な農林業社会

中球磨地域においては、第一次産業従事者は、第2次・第3次産業従事者の双方より少なくなってきたとはいえ、今日においてもなお3割を超えており、中球磨地域では農林業は主要産業であると言える。その主要産業である農林業に従事している人が、前節でも確認した心の豊かな生活を目指すためには、それが可能となる仕組みを作り上げることが必要となる。

経済面においては、農林業への従事形態が専業であれ兼業であれ、心豊かな生活が保証される所得が得られるような仕組みづくりが必要である。必ずしも農林業のみで生計を成り立たせる必要はないが、農山村の地域コミュニティが維持され、その中で生活が成り立っていく社会が求められるのである。

さらに、国土の保全、地域社会(コミュニティ)の維持のために、引き続き農林業に関わり、役割を果たすことが出来る仕組みづくりが、そしてものを創ることを通して得られる充実感から来る生き甲斐づくりが、必要である。

また、健康や環境への関心の高まりに応え、これに配慮した農林産物や農林産加工品の栽培・加工・製造など、安全で付加価値の高い先進的な農林業の実現も、今後重要である。

農林業は、雇用創出、健康、環境、生きがい創出及び観光や交流など、裾野が広く、他の柱とも密接に関連しており、中球磨地域においては、この第1の柱である農林業が、6つの柱の中でも重要な柱になるものと考える。

 

 

 

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