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第5章 事業化計画の実現課題

 

1 港湾機能の強化を図るためのインフラ整備等を進める必要がある

本調査研究の目的である呉市の自立的成長を実現していくためには、平成10年度調査において検討したように、港湾機能の強化が重要である。このためには、新規に空間創出される広多賀谷地区に立地条件の向上のために東広島呉自動車道路の早期実現とこれへの取り付け道路の具体化など立地条件の改善が必要であり、あわせて、地元企業の協力関係づくりや積極的なポートセールスを展開していく必要があろう。

 

2 メガフロートによる空間創出という仕組みを、現在の諸制度の中に位置づけ、関連制度の整備が行われることが必要である

現在、大規模な浮体構造物の用途としては、平成10年度調査でとりまとめたように、

1]大型空港などの交通基盤

2]防災基地や廃棄物処理施設などの都市基盤

3]クリーン・エネルギー利用型洋上中継基地などのエネルギー施設

4]海上都市

5]レジャー・観光施設

など多様な用途が提案されている。しかし、現状の実態は博物館、展示場、レジャー施設、飲食施設など単体の洋上建築物でありその規模も相対的に小さく、大きなものでも4ha程度の規模の石油備蓄基地である。そして、この石油備蓄基地も、制度上は石油貯蔵船としての係留船舶扱いであり、船舶安全法の規制のもとにある。これまでの新しい用途に対するメガフロートの位置づけ方は、既存の制度を適用するという対応であり、想定していない用途に対しては、そのつどどのような制度を適用するかを検討するという方法になっている。

メガフロート自体は、新しい技術として期待されているものであり、その技術が確立していくためには事業として展開されるための用途が確保される必要がある。そして、その用途を拡大していくためには、新しい用途を認知し、その用途毎に必要とされる関連制度を整備していく必要があろう。具体的には、既存法に付記するなど明確な位置づけを行う、又は、新法の制定が行う必要がある。また、この他にも法的な位置づけが明確でないため、登記が出来ず、現在のような実験施設から実用施設の建設に移行する段階で費用負担の点での制約が懸念されている。

例えば、本調査研究において検討した港湾施設としてのメガフロートの活用という点では、法制度上の位置づけを明確にし、その用途に対応した設計基準・安全基準について、新規の基準を作製するのか又は既存の基準を準用するのかなどが検討されることが必要である。本来、設計基準・安全基準が明確にされることによって、その基準に基づく積算単価が明確なものとなってくる。

 

 

 

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