日本財団 図書館


第2章 メガフロートの費用試算

 

本章では、一定の条件のもとでメガフロートの費用を概算し、同様の港湾機能に対応する規模の埋立地造成との費用比較を行う。次いで、呉市において上記事業が実施された場合、地域にどのような影響を与えるかについて検討する。

 

1 メガフロートの建設費用

本積算研究は、埋立てによる土地造成との比較で見て、メガフロートの概略の建設費用規模がどの程度に評価できるかの視点で見るために、荷役設備や電源施設・水道施設・汚水施設・廃棄物処理施設などの関連インフラ施設のコストなど、埋立ての場合にも同様に必要とされるものについては見込んでいない。なお、関連インフラ施設整備において、埋立ての場合には施設を収容するための建築物が必要となるのに対して、メガフロートでは内部空間に収容することによって建築物のためのコストを必要としないことによって必要費用の差が生じると考えられるが、本調査研究においては、これは考慮しないこととする(ただし、前章で検討したように、メガフロートに研修機能や災害時の宿泊機能を持たせるためには空調設備や照明等の設備などが必要であるが、ここではこれについては含めていない)。

また、この比較においては、メガフロートの場合、港湾施設対応の建造を行うことに伴い防災施設としてのスペースをも生み出すことも可能になる。このため、ここで行うメガフロートと埋立てとの費用比較は、厳密に同じ機能間の比較ではないことに留意する必要がある。

また、上部施設の内容が確定していないため、浮体構造物の条件設定に反映できない点については含めてはいない。

 

本調査研究で想定されている程の大規模で、かつ、超長期の使用を想定したメガフロートは存在しない。現状は、実験施設において、様々な条件のもとでの技術面及び環境保全上の知見・情報の蓄積が進められている。メガフロートの建設において費用・技術の両面で具体的な数値を示すことができるのは、実験施設として取り組まれた「フェーズI」、「フェーズII」のデータである。そのため、まず本調査研究における試算の基礎データとして実験施設において設定された条件を提示し、次に、それらと本調査研究の設計及び試算上での相違点(面積あたりの単価差、荷重条件、内部空間の高さあるいは面積規模拡大による強度条件の変更など)を中心に検討していく。

注) 1.メガフロート実験施設フェーズI……平成7年度から3年間をかけて長さ300m、幅60m、深さ2mの浮体モデルを建設し、以下のような基盤技術を確立した。

・海上接合による大規模化の加工性の検証(メガフロートの建設技術の確立)

・メガフロートの総合的な設計を行うための各種設計プログラムの開発

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION