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●主な歴史・文化資源の内容

 

■五月山と愛宕神社、大広寺など

本市域の北域の大部分を占める、標高315.3mの五月山は、広葉樹に覆われ、春のサクラとツツジの時期を中心に花見や森林浴の場として親しまれている。山ろく部には、遺跡や古墳も多く、山腹には愛宕神社や伊居太神社及び大広寺、陽春寺といった古い社寺が点在する歴史と風格が漂う山である。これらの社寺や展望地点を結ぶ7つのハイキングコースやドライブウェイが整備されており、手軽に散策や山からの眺望を楽しむことができる。また、池田市に古くから伝わる火祭りである「がんがら火祭り」の際には、山腹の「大文字」「大一文字」に火が灯されるなど、まさに、池田市を代表する資産といえる。日本一小さな動物園や都市緑化植物園、野外活動施設などの豊かな樹林地を活かした施設も設置されている。

愛宕神社は、「がんがら火祭り(愛宕火)」の神火がおろされる神社である。佐伯部が五月山に住み、祖神を祀って宮守りをしていたことから五月山の旧名を佐伯山といったとされる。古くからある神社だが、現在の拝殿は新しく建て替えられている。

大広寺は、600年ほど前の室町時代に開かれた寺院で36院を有したともいわれ、近郊の名刹として荘厳を極めた。池田家の菩提寺であり、池田市史跡名勝天然記念物[史跡]の池田氏の墓塔を有するほか、画像なども保管されている。本殿後方には多くの漢詩人などが集った望海亭の跡があり、「望海亭記」や連歌師・牡丹花肖柏像や碑、儒学者・田中桐江の墓も有している。更に、池田市重要文化財の慶長14年の年号のある池田市最古の銅鐘や池田城落城の際の血の痕の縁板を天井に用いたといわれる血天井なども残されている。庭園の牡丹も人々に親しまれている。

 

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市民に親しまれている五月山

(「池田市勢要覧1998年」より)

 

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愛宕神社

 

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大広寺山門

 

■がんがら火祭りと明星大明神(星の宮)

「がんがら火祭り」は、正しくは「愛宕火」と言われ、愛宕神社を中心にして、「家内安全」と「火難厄除け」を願って毎年8月24日に行われる火祭りである。この祭りを実施しているのは、五月山山ろくの城山町と建石町で、江戸時代・正保元年から続くとされる由緒ある祭りである。愛宕神社で昼間に大護摩が焚かれ、夕暮れとともに重さ100kgもあるという2本の大松明に点火されて、その神火は山を下りながら、山腹の城山町の「大」と「大一」文字に点火される。更に伊居太神社前に降りて来て、2本の松明で「人」の形に組み練り歩く。この際に半鐘や八丁がねなどを叩き、それらの音が「がんがら」と鳴ることからつけられた呼び名といわれている。

同時に建石町では、明星大明神=通称「星の宮」でご神火をもらい、大明が原(五月山東斜面)の「大」の字火が灯される。その後子供達が竹筒でできた松明を手に下山し、「星の宮」に戻り点火後の火を納める。立派な社殿を有する伊居太神社に対し、「星の宮」はこじんまりとした神社ではあるが、昔「呉」から渡来し機織りを伝えた「呉織姫」「穴織姫」が、夜遅く灯りもつけずに機を織っていると、七つの星が降りてきて明るく照らしたという神秘的な伝説が残る神社である。「大」と「大一」の文字が五月山の山腹に浮かび上がり猪名川の川面に映し出される様は、何ともいえない風情が感じられる。この行事は市の無形文化財に指定されており、「池田五月山大文字・がんがら火保存会連合会」が中心となって祭りを支えている。

 

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市内を練り歩く大松明

 

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明星大明神(星の宮)

 

 

 

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