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第3は、植栽地の環境条件に適した樹木材料の選定である。植栽地の環境条件に適した樹木材料の選定とは、いわゆる適地適木を意味する。1つ目は、各々の場所には、それぞれ適した樹木があるということ。2つ目は、樹木によりCO2の吸収量や吸収速度に違いがあり、吸収量が大きくかつ吸収速度の速い樹木を植栽するにはその樹木に適する場所があるということ。このような適地適木を進めることが、CO2の吸収・固定に対してより大きな効果を発揮するのである。

第4は、樹形等の樹姿(枝葉密度が高く、調和の取れた旺盛な生育を示すもの)である。緑化にあたっては、樹形等の樹姿、木の姿に配慮する必要がある。都市では、建物、電線、信号機等があり、自然の樹形のままに生育させることが不可能なため、剪定する必要があるが、CO2の吸収・固定を考慮し、枝葉の密度が高くなるような、また、調和のとれた形で旺盛生育を促すような剪定方法が求められる。

第5は、樹木の生育に適した良好な植栽基盤の整備である。とりわけ都市における緑化にあたっては、樹木の生育が成立する基盤を整備する必要がある。そして、CO2の吸収・固定の効果がより高まるような、植栽基盤の改良が次に必要になる。

第6は、適切な工事施工と維持管理である。具体の緑化では、ただ樹木を植えれば終わりというものではなく、適切な工事と維持管理が必要不可欠である。適切な維持管理が、緑の効果の内容を規定することを忘れてはならない。

 

(3)地球温暖化対策緑地整備

地球温暖化対策緑地建設譲渡事業(以下、「地球温暖化対策緑地整備業」)は、周知のとおり、昨年度、環境事業団が新たに創設したものであり、地方公共団体の活用が期待されている。そこで、以下では、同事業団がこれから取り組もうとしている、地球温暖化対策緑地整備事業を紹介しながら、廃棄物の最終処分場跡地、あるいは土壌汚染地を緑化したならば、どれほどの効果があるか、を述べていきたい。

 

ア事業概要

以下では、同事業団の事業を要約的(一部抜粋しながら)に整理しておく。

 

(ア)主旨

廃棄物の最終処分場跡地や土壌汚染地では、立地条件の特殊性や技術的問題、さらに財政事情等により新たな土地利用が進まない例が多く、適切な対応が求められていた。また都市地域では土地利用に制約があるが、周辺地域の生活環境の保全とレクリエーション空間としての緑地整備への要望が強い。そこで都市地域におけるCO2の吸収・固定源の確保と、都市のヒートアイランド現象の緩和という緑地の持つ機能に着目して、廃棄物最終処分場や土壌汚染地とそれらの周辺地域を事業対象地として、地球温暖化対策緑地を都市公園として整備することとした。対象地の特殊性からして、必要に応じた土壌環境保全対策を施し、周辺地域の生活環境の保全に資するものとすることが求められる。

 

 

 

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