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3]地方公共団体の事務及び事業のうち、外部への委託等により実施するもので、温室効果ガスの排出の抑制等の措置が可能なものについては、受託者に対して、必要な排出抑制等の措置を講ずるよう要請する。4]地方公共団体は「地球温暖化対策推進法」第8条に基づき、地方公共団体の事務・事業に関して、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画(実行計画)を策定し、点検、公表を行う。策定に当たっては地域の自然的・社会的条件に応じて創意工夫する。5]地方公共団体の事務・事業には庁舎におけるもののみならず、廃棄物処理、水道、下水道、公営交通、公立学校、公立病院等も含まれる。

以上のように、地方公共団体は自らの事務・事業に関する措置を講ずるとともに、その区域の事業者、住民が温室効果ガスの抑制等に関して行う活動の促進を図るため、情報の提供、支援措置等を講ずることが求められている。

 

2 地方公共団体の今後のあり方

「地球温暖化対策推進法」の制定、法に基づく「基本方針」の決定等により、各主体の責務も明らかにされたところであり、地方公共団体の果たすべき役割も明確になってきた。

地方公共団体においても、環境基本条例等を制定し、条例に基づく地域環境基本計画、あるいは環境管理計画等の中で、地域の状況を踏まえた地球温暖化防止に関する施策が位置づけられているものが数多くみられようになってきたが、如何に実効性のある地球温暖化対策とするかが課題である。

地方公共団体が関与して推進される対策について二、三検討を加えてみる。1]地球温暖化対策推進法の実行計画とも関連するが、自ら排出する温室効果ガス対策として、環境に優しい製品の選択、電気・ガス等のエネルギーの節約、庁舎設備の省エネ型への改善、公共事業の施行・運営方法等における温暖化対策への取組。また、事業所単位の取組を奨励する方策として、ISO14000シリーズの認証取得も有効な手段。2]事業者、住民が排出する温室効果ガス対策としては、普及啓発活動の推進、省エネ、新エネ・新技術、リサイクルシステムの導入などを地域の特性を活かして推進する。環境家計簿(企業版、家庭版)を用いて取組を誘導する。公共交通機関の積極的利用の促進、地域冷暖房等の整備、リサイクルシステム等の情報の提供や環境学習拠点の整備など。3]環境行政の中の重要な課題として、既存の培われたノウハウを活用し、各部局間の横断的組織・機能の整備と環境問題に対する意識の向上が必要である。地球温暖化防止対策は、企業の生産活動、サービス産業、国民の日常の消費活動といった社会・経済活動の全てに深く関与するものであることから、国の関連政策のみならず、地方公共団体における各種の施策・方針とその実施及び地域社会や地域住民一人ひとりの行動様式の改善・誘導が極めて重要である。

公共施設への省エネルギー施設の率先導入(環境配慮型官庁施設)や民間施設への導入の促進、リサイクル運動の促進、緑化対策の推進、市民のライフスタイルの変革を誘導するための普及・啓発活動のほか、本問題への取組を推進するために行政組織の充実・強化を図ることも必要である。

地方公共団体は、その区域の自然的・社会的条件に応じて、適切な施策を講ずることにより、地球温暖化防止対策に果たす役割は大きい。

本調査研究委員会は、以上のような趣旨に基づいて、地方公共団体が地球温暖化防止の目的を達成する一助となるよう、地方公共団体への施策提案または施策立案の参考となるような課題について、委員会において討議を行い、それぞれ各委員の専門の分野からの報告を取りまとめたものである。

地方公共団体が、国とともに地球温暖化防止の推進に向けて、事業者、住民と一体となって取り組まれることに大きな期待を寄せるものである。

 

 

 

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