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図表6-7 高齢者向け住宅緊急確保事業の概要

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イ 入居者の状況

現在は、10戸中4戸が入居している。現在は関連病院の退院者だけが入居しているが、今後は広く募集し、関連病院以外の退院者も認める予定である。しかし、看護婦や医者のいる病院の方が、家族も高齢者本人も安心のようであり、病院が勧めても、退院・入居を渋る場合が多い。

家賃は月17,000円、共益費月2,000円、食費が月30,000円程度で合計で月50,000円程度であるが、それでも年金だけの生活者にとっては苦しいという意見がある。

 

ウ 問題点

(ア) どのような高齢者を入居させるかはケースバイケースであるが、高齢者の説得も含めてソーシャルワーカーの役割は重要。しかしながらソーシャルワーカーの数は全体的に不足している。

(イ) 自立、要支援とされる施設入居者の受け皿として考えていたが、医療保険適用のベッドとして高齢者を施設から退去させる必要が無くなれば、住宅新設の必要性も薄くなる。

 

(3) 介護保険の準備事務について

このように、各地方公共団体では、高齢者の状況など地域の実情を考慮し、知恵を絞って必要な施策を検討している。介護保険制度の実施が地方分権の試金石と言われる所以であろう。

特に、高知県内の地方公共団体では、高齢者介護を福祉サービスの観点だけで考えるのではなく、高齢者がどこに住み、どこでサービスを受けるのかに着目して、住宅扶助や介護扶助との連携のあり方についてまで踏み込んだ議論・取組が積極的に行われていた。国の縦割行政の概念からは議論されにくいテーマであるが、これらの取組の成果等、今後の動向が注目される。今一度、地方分権の基本的な理念に立ち、国による一律の規制が各市町村の独自性の芽をつぶすことがあってはならないと強く感じたところである。

 

 

 

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