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3 市町村による保険料のコントロール

 

(1) 高い保険料は、高い…のため

保険料が高くなる要因は二つあり、まず高いサービスに見合う高いコストが生じていることであり、次には、療養型病床群に入院している高齢者が多いことである。例えば、A村の高齢化率は30.7%であり、人口1,732人の村で要支援・要介護者が87名いて、このうち特別養護老人ホーム、病院に40名が入院しており、病院では、年に一人当たり約500万円かかることから、A村の保険料が高騰することとなる。規模の小さな市町村においては、一人の人がどう認定され、どういったサービスを受けるかが大きく影響する。逆に、きめ細く対応することで保険料に市町村の努力を反映させることも可能である。

 

(2) 市町村のコントロールを超える広域的な政策の形響

また、療養型病床群によって保険料が高くなることのもう一つの意味は、療養型病床群が市町村でなく都道府県の認可によるものであるため、市町村の計画とは異なる行政主体の計画によって、認可が下りるものである。ところが、病床が設置された結果、よりアクセスしやすい当該市町村の住民が利用することが多いため、当該市町村の保険料が高くなるという傾向がある。

したがって、市町村にとっては自らがコントロールできない要素によって施策の費用が高まることとなる。今後は、市町村が介護支援施策を評価、比較して、新たな施策を講じようとするとき、こうした広域的な観点から講じられる都道府県の施策と市町村の施策との調整が、適切な介護保険財政運営等の観点から必要となるのではないか。

 

(3) 介護保険制度の精度

療養型病床群の費用が高いなどと問題となるのは療養型病床群が個室などの場合は、痴呆にはあまり効果がないということから、施策の効果とコスト(療養型病床群は平均43万1,000円(平成12年1月現在))にギャップが生じているためといえる。今後介護保険を運営していく中で、より適切な評価を施策に対して与えることが必要と考えられる。

こうした観点から、療養型病床群に限らず、グループホームについても痴呆に対する効果が高いことを踏まえ、そのコストを的確に反映させた基準が設けられる必要があるのではないか。

 

 

 

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