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(2) 地方における情報公開の影響

平成7年頃から、官官接待の言葉とあわせて地方公共団体の食料費の問題がマスコミにより取り上げられることが多くなった。従来は、学校研究者等が研究のための資料要求として使うことが多かった情報公開制度が、この頃から、行政監視手段としての色彩を強めてきたと見ることができる。

さらに、公開された情報に基づいて4号代位訴訟(地方自治法第242条の2第1項第4号)が各地で起こされ、これにより地方公共団体の現場では、職員の個人責任というものが鋭く問われることとなった。これは、国には類似の規定はなく、地方自治法に基づいて規定されている制度である。

例えば、第3セクターに対して市が交付した補助金について、当該第3セクターが破綻したことにより市が損害を被ったとして、補助金決定時の市長が裁判で責任を追及されるケース等が数多く出てきており、係争中のものもある。

 

(参考:地方自治法)

第242条(住民監査請求)

普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法又は不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。

(第2項以降略)

 

第242条の2(住民訴訟)

普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求(※住民監査請求)をした場合において、同条第3項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条7項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条3項の規定による監査若しくは勧告を同条第4項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員同条7項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えを次の各号に掲げる請求をすることができる。

 

 

 

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