7.4.6 溶接欠陥*7.39と補修の考え方
溶接作業完了後、溶接継手部を7.3.4(9)で述べたように外観検査を行うが、溶接施工上から重要な
1] 回し溶接の状態
2] 5.6.3で述べたような回し溶接ができないスカロップやスロット
3] 7.2.2(2)の1)で述べた肋骨と縦通材の交点のすみ肉の範囲
4] 主要構造部の余盛形状並びにすみ肉の脚長
などについては、それぞれの関係する項目で処置を記した。ここでは、次の溶接欠陥に対する補修の考え方を述べる。
(a) クレータ割れ
(b) ビード面のき裂や割れ
(c) 溶込み不良及び融合不良
(d) 片面1層溶接における裏面側の溶込み不良、又は、溶着金属の過大なたれ込み
(e) オーバラップやアンダカットの著しいもの
(f) ブローホール
(g) 放射線透過試験*7.40で見出された内部欠陥の内、有害なもの
これらの各欠陥の内、はつり取って再溶接を要するのは、(a)、(b)、(c)である。(d)の裏面溶込み不良は、裏側からはつって再溶接を行い、又、過大なたれ込みはグラインダで除去後の判断による。
(e)のオーバラップは、外観上から見苦しい場合には除去した方がよいが、特に気にする必要はない。アンダカットは、下向き姿勢で溶接する場合にはほとんど生じることはないが、立向き姿勢になると生じやすい。これは、7.1.4(2)で述べたように断面積を減少させ、かつ、切欠として作用するからグラインダなどを用いて丁寧に仕上げなければならない。
*7.39 溶接欠陥が疲労強度に及ぼす影響については、文献30)に詳細にまとめられているので、以下においてはき裂発生の観点から要旨だけを述べる。
*7.40 漁船協会から申請中のアルミニウム合金製漁船構造基準(案)では、放射線透過試験を行う場合には、強度上重要な構造部材において注意を要する下記の継手から選ぶようになっている。
横縁と縦緑の交差する箇所
現場ブロック継手部
厚さに著しい差のある継手
開口部にかかる継手
合格は、JIS Z 3105(1984)“アルミニウム溶接部の放射線透過試験方法及び透過写真の等級分類方法”の3級以上である。