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高血圧重症度はWHO病期分類の第I期または第II期で20歳以上の未治療患者を原則として対象としたが、治療中の時には2週間以上のwash out期間を置いた。外来において2週間以上の観察期を設け、観察期を通じての外来坐位血圧値が収縮期血圧140mmHg以上および/または拡張期血圧90mmHg以上で、本試験への参加に対する文書同意が得られた患者を対象とした。また、血圧測定時刻を可能なかぎり一定とするために、午前中の外来通院患者を対象とした。なお、1)重症高血圧症(拡張期血圧120mmHg以上)および悪性高血圧症、2)二次性高血圧症、3)うっ血性心不全の合併、4)過去3か月以内の心筋梗塞、脳血管障害の既往、5)高度房室ブロックおよび重症不整脈、6)高度の肝、腎機能障害(血清クレアチニン2.0mg/dl以上)、7)コントロール不良の糖尿病、8)アレルギーまたは薬物過敏症、および重篤な副作用の既往、9)妊娠またはその可能性のある場合、および授乳中、10)活動性肝炎、AIDS、および11)その他、主治医が対象として不適当と判断した患者は対象から除外した。

 

B. 方法

Ca拮抗薬としてアムロジピン(アムロジン®、ノルバスク®)を、ACE阻害薬としてエナラプリル(レニベース®)を選択した。投与量はいずれも最も汎用されていると考えられる一日5mgとした。

観察期間中に24時間尿を採取し、尿中Na排泄量およびクレアチニン・クリアランスを測定した。その後、封筒割付法によって無作為にアムロジピン錠(アムロジン®、ノルバスク®)5mgまたはエナラプリル錠(レニベース®)5mgいずれか一方を一日朝一回で投与した。投与4週間後、薬物最終投与24時間後に外来にて血圧を測定した。

全期間を通じて他の降圧薬、利尿薬、H2-受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬および非ステロイド性抗炎症薬の使用を禁止した。その他の薬剤については、試験前より投与しているものがある場合は、用法用量を変更することなく全期間を通じて投与することとした。

観察期間中に心電図、胸部X線、血液学的検査、血液生化学的検査および尿検査を実施し、治療終了時に異常値がみられた場合には追跡調査を行い、処置経過、試験薬との関連性および臨床的意義などについて調査することとした。治療期間中に出現した症状については、投与を中止した場合も含めてその後の経過を追跡するとともに、薬剤との因果関係を調査した。副作用および偶発症がみられた場合についても薬剤との因果関係を検討することとした。また、1)重篤な副作用、合併症の併発、症状の悪化などの理由で試験薬の投与が困難であると判断された場合、2)被験者が試験中止を希望した場合、およびその他、主治医が試験中止を必要と判断した場合は試験を中止することとし、解析不採用とした。くわえて、実施要綱の範囲内で試験が行われなかった場合も解析不採用とした。

 

 

 

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