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10府県60市町村の対象者にあらかじめ、「健診のお知らせ」とともに質問票を送付し、記入したうえで受診会場に持参してもらい健診当日回収した。その際、記入もれなどを確認した。調査内容は、3歳児の両親に対して、年齢、住居環境(環境、交通量の多い道路への距離、つくり、一戸建てか集合住宅か)、症状の有無、症状の種類、月別出現状況、症状の重症度(生活に与える影響)、繰り返し起こるか、1日のうちのでやすい時間帯・場面、症状を軽快する手段などをたずねた。また、母親についてのみ、本人のアレルギー疾患の有無と母親にとっての実の両親のアレルギー疾患有無をたずねた。

本研究では、「かぜをひいていないのに、たびたびくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状、眼のかゆみなどがでますか」の問いに「でる」と答えた者のうち、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3症状がすべてあり、かつ2月から5月のいずれかの月に出現すると答えた者を「スギ花粉症あり」と定義した。また、上記の質問に対して「でない」と答えた者を「スギ花粉症なし」とした。

ロジスティックモデルを用いて、環境要因、遺伝要因についてそれぞれの危険因子のオッズ比と95%信頼区間を求め、オッズ比の95%信頼区間が1.0を含まないものを統計学的に有意(p<0.05)とした。

 

III. 研究結果

A. 回収結果

設定期間中における10府県60市町村の3歳児健康診査対象者は、合計4,726人であり、そのうち実際に受診した者は3,999人(受診率84.6%)、本研究協力者は3,856人(受診者の96.4%)であった。3歳児の母については3,851人、父については3,768人の情報が得られた。

B. 全国の症状の種類と分布

質問票に「かぜをひいていないのに、たびたびくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状、眼のかゆみなどがでますか」の問いに「でる」と答えた者は、母1,284人(33.3%)、父1,160人(30.8%)であり母が父より訴える者の割合が高かった(p<0.05)。図1に示すように症状の中で最も多かったものは母ではくしゃみであり、ついで鼻水、眼のかゆみ、鼻づまりの順であった。父ではくしゃみが最も多く、続いて鼻水、鼻づまり、眼のかゆみの順であった。ついですべての症状で母が父より多く、眼のかゆみは母で特に多かった。また、府県別には有症者の頻度に地域差は認められなかった。

症状の程度(生活に及ぼす影響)は母、父とも多くは「多少気になるが、仕事や生活に影響はない」であり、「仕事が手につかないくらいの影響がある」とした者は症状ありとした者のうち母9.0%、父7.9%であった(不明を除く)。

 

 

 

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