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4-17.所持人、回収、関係書類の有無

 

Q4-17-6:電子式船荷証券においても、その「回収」と引換のDelivery Orderというのはあり得ますか。あるいは必要ですか。

1.紙の船荷証券の場合、一般に、運送人たる船会社は、最終の所持人からのその回収と引換にDelivery Orderを発行します。これは、運送人たる船会社から、その委託を受けて実際に貨物を引き渡す本船船長、総揚貨物を保管する荷役業者、コンテナターミナル等宛の、(当該最終所持人から船荷証券の提出を受けたので)その者宛に貨物を引き渡すようにという指示書であり、船荷証券回収をする船会社のオフィスと実際に貨物を引き渡す場所が離れているということ(別言すれば、貨物引渡現場である本船やコンテナターミナルで同時に船荷証券回収業務までもやっていては混乱するということ)から採用されている実務です。つまり、もともと船荷証券の輾転流通ないし権利移転のしくみそのものとは関係ない制度です。

従って、紙の船荷証券であれ、電子式船荷証券であれ、法的にはあってもなくてもよいのです。電子式船荷証券でもあり得ますし、しかし必要ということでもありません46

さらに、このEDI化も、電子式船荷証券化とは全く別に(船荷証券自体は紙の船荷証券である場合でも)行うこともできるし、電子式船荷証券化した後でもこれはやはり紙で送るということも可能です。

2.但し、何れにしても、Delivery Orderを電子メッセージとして送るという意味でEDI化することは、やや中途半端であると思われます。

すなわち、実務上Delivery Orderは、荷受人(当該船荷証券を提出した最終所持人)の指示を受けて現実に貨物を引取に行く陸上運送業者と、現実に貨物を引き渡す本船、総揚貨物を保管する荷役業者、コンテナターミナル等との間で授受されることにより(その最も徹底した形は、貨物を引取に行くトラックやトレーラーのドライバー自身が現場にそれを持参するということですが)、前者が、後者に対し、自分は間違いなく荷受人の指示を受けて貨物を引取にきた者であることを証明する身分確認書類として機能していると思われますが、そうであるならば、電子式船荷証券の電子的な「回収」と同時に、現実に引渡を受けるための暗証番号等を当該証券の「提出」者宛の電子的メッセージにより発給し、「提出」者が現実に貨物を引取に行く陸上運送業者のトラックやトレーラーのドライバー自身にそれを伝達し、現場ではその番号等を示すことで引き渡すようにすれば、十分その目的を達すると思われるからです。

 

46 何らかの方法で船荷証券の提出者(の指示を受けた者)宛に間違いなく現実の引渡が行われるようにすれば良いのです。

 

 

 

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