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4-15.発行

 

Q4-15-3:電子式船荷証券を船会社の代理店が発行することは可能ですか。

1.結論から言えば、これは、電子式船荷証券の下でも勿論可能です。

2.電子式船荷証券の「発行」が、要するに当該電子式船荷証券に含まれる所定の情報を荷送人宛に電子的メッセージの形で送付してなされるものである以上、ある運送人の名前でそれを誰が発行できるかということは、その電子的メッセージの形で送付をする権限が、どこまでの人に与えられているかという問題に過ぎません。代理店に発行して欲しければ、代理店にその権限を付与すれば良いのです。

勿論、Aという名前の船会社を運送人とする電子式船荷証券が、誰彼なく発行できては困ります。A会社ないしA会社の認めた人のみが発行できるようにしなければなりません。これは、電子商取引一般におけると共通の問題(「成りすまし」の防止)です。そのために用いられる具体的方法は、電子署名と言われるものですが、昨年実用化された(稼動開始した)Bolero B/Lでも採用されている、現在最も一般的な電子署名は、公開鍵・秘密鍵方式と言われるものです。現在通産省の予算事業として進行中の国産の電子式船荷証券プロジェクト30であるいわゆるTEDIプロジェクト31でも、やはり同様と考えられます。

秘密鍵は、暗証番号のようなもので、それがあれば正にその(A会社の名前で)電子式船荷証券が発行できてしまいかねないものですから、厳重な管理が必要ですが、代理店にも発行させたければ、それを代理店にも開示すれば足ります。(その他当該運送人のIDなども入手要であろうこと、当該代理店に電子式船荷証券のシステムに対応・接続できるコンピュータのハード・ソフトが必要になること、等はもとより別問題です。)

3.ただ、電子式船荷証券になると、代理店が発行するという状況は、次第に少なくなると思われます。なぜなら、船荷証券は、まず船積地ないし受取地において荷送人に対して発行する物ですから、紙の船荷証券であれば、正に船積地ないし受取地付近にあるオフィスつまり代理店において、その用紙を用いて作成する必要があるのに対し、電子式船荷証券は、電子的メッセージの送信に過ぎませんから、世界どこで発行しても同じことだからです。しかも、上記の秘密鍵は、一度教えてしまえば(それが変更されるまでの間は)いくらでも濫用されるリスクがあるので、船会社は、その管理には相当気を使わざるを得ず、開示の範囲もできるだけ小さくしようとすると思われるからです。

発行者である船会社の内部システム(といってもグローバルなシステムのはずですが)の問題として、電子式船荷証券に記載すべき事項のデータ及びその発行が可能になった旨の情報を、船積地ないし受取地の代理店から当該船会社における電子式船荷証券の発行センター的な部署(秘密鍵を保有・管理している部署)へ送信し、それを受けて直ちに当該部署が電子式船荷証券を(可能ならば自動で)発行するというような形態が予想されるのではないでしょうか。

 

30 正確には貿易関係書類全体の電子化プロジェクト

31 「貿易金融EDI共通基盤システム」開発プロジェクト及び「TEDI共通規約」作成プロジェクト。

 

 

 

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