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4-5.契約当事者、利害関係者

 

Q4-5-1:電子B/Lの場合、法律上の船荷証券と言い難く、法律上では同様の効果を期待出来ないので、船荷証券同様の効果を得る為には、当事者間で船荷証券と同じ効力を認め合う特別の取極めを結び、その契約条項に依って対処することが必須であるとのことですが、どのような関係者間でのことでしょうか?

船荷証券や貨物の利害関係者は多岐に亙り、「船荷証券」を巡る利害関係者は、

A)運送人、B)荷送人(SHIPPER):運送契約の相手方、C)荷受人(CONSIGNEE):運送契約において貨物の引渡しを受ける者として指名された者、D)船荷証券所持人:船荷証券の適法な所持人、つまり券面上の権利者、即ち指図式の時は「荷受人又は連続した裏書による最後の被裏書人」、選択無記名式または無記名式の時は「証券の所持人」、E)銀行

「貨物を巡る利害関係者」は、荷送人、荷受人、船荷証券所持人、銀行、貨物に対する所有権や質権等を主張する人々(この実体的な権利の現状は、運送に伴い単純な貨物所有権の移転がある場合ばかりでは無く、全く所有権移転の無い場合、二重譲渡が有る場合、売買の際に所有権が留保されている場合、質権が設定されている場合、所有権移転や質権設定等の意思表示に瑕疵が有り、無効・取消などが絡む場合等などのケースも有ります。)

又、それらの貨物関係者の債権者が現れる事も有ります。

運送人の観点から見れば、貨物を巡る実体的権利関係は運送人の知りうるところでは無く、同時に、運送人の関知するところでも有りません。運送人の関心事は、それらの物権・債権の問題では無く、単に、「“貨物引渡請求権”という債権の権利者は誰か?」の一点に有ります。運送契約に船荷証券が発行されますと、船荷証券の有価証券性から、「貨物引渡請求権」の移転・行使が証券をもってされることになり、その流通を保護する観点から、

単純な裏書・交付による権利の移転、

人的抗弁の制限(債務者が、所持人の前者に対して持っていた、

‐債務履行義務の原因が無い。

‐原因関係に同時履行の関係が有る。

‐何らかの特約が有った。

‐反対債権で相殺する。等などの事由を以って、船荷証券所持人に対抗出来なくする。)

等の機能が働くことになります。但し、この様な機能が働くのは、法律の規定により、船荷証券にその様な効力が与えられているからです。

 

 

 

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