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4-2.運送・荷渡し等に際しての注意事項他

 

Q4-2-5:電子B/Lが作成されている場合、「荷受人による荷送人の権利の取得」に依って、電子B/L権利者の権利が侵害される心配はありませんか?

船荷証券が発行されない運送契約の場合、商法583条の規定がそのまま生きて運送人は、荷受人に貨物を引渡さざるを得ず、結果として、電子B/Lの権利者の権利を侵害することにならないかとの疑問ですね。

商法583条「荷受人による荷送人の権利の取得」

「1]運送品が到達地に達したる後は、荷受人は運送契約に因りて生じたる荷送人の権利を取得す。」

二つのケースが考えられるでしょうが、電子B/Lの権利が未だ荷送人乃至その銀行の手に有り、荷受人に移転される以前の場合:

「運送契約に因りて生じたる荷送人の権利」の解釈の問題として処理出来るのではないでしょうか?

荷送人が、当該運送契約上持っている権利は、貨物の引渡しに電子B/L上の権利者であることを条件として附したものであると考えれば良いのではないでしょうか?

荷受人が既に電子B/L上の権利を他人に譲渡した後の場合:

上述の考え方に加え、運送人に対する通知・運送人の承諾などにより、債権が有効に譲渡されているのであれば、荷受人は既に当該権利の権利者では無いことになります。

 

4-3.ヘーグ・ルール等国際条約との関係

 

Q4-3-1:電子B/Lに、ヘーグ・ルールやヘーグ・ヴィスビー・ルールは適用されるのでしょうか?

HAGUE RULESやHAGUE-VISBY RULESは、船荷証券(又は同様の権限証券)にのみ適用されるRULESです。従って、電子B/Lには、法律として当然には適用されません。

結果として、SEA WAYBILL同様「契約自由の原則」に沿って、電子B/Lの約款が文言どおりの効果を持ったり、逆にハーター法などの、船荷証券にCOGSAが適用される結果として陰に隠れていたものが表面化したりすることも考えられます。

従って、契約の条件として慎重に摂取する必要が有るでしょう。

尚、我国の国際海上物品運送法はこの点で例外的存在であり、この法律が適用される場合には、船荷証券が発行されているか否かに拘わらず、総ての「外航運送契約」に適用されます。

 

 

 

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