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4-2.運送・荷渡し等に際しての注意事項他

 

Q4-2-3:船荷証券の場合、運送人は、船荷証券記載の事実に拘束され、たとえ事実が異なっても、善意の船荷証券所持人には対抗出来ないと言われていますが、電子B/Lの場合はどうでしょうか?

日本法を例に取ると、船荷証券の場合、国際海上物品運送法9条に次の様な規定が有り、船荷証券所持人が、券面記載の事実に関して善意である限り、運送人は記載事実が真実と異なるとの主張は出来ません。

国際海上物品運送法9条(船荷証券の不実記載)

「運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の船荷証券所持人に対抗することが出来ない。」

一方、電子B/Lの場合、この規定は適用されないでしょうが、上記した指名債権譲渡に関する「異議を留めざる承諾」が有る場合、同様の結果を得られることになるかも知れません。

尚、船荷証券でも無く、又、債権譲渡も無いSEA WAYBILLの場合は、全く事情が異なります。例えば、海運の実務では、実際には運賃が未だ入金されていないにもかかわらず“FREIGHT PREPAID”と記載した船荷証券やSEA WAYBILLが発行される場合が有ります。

この様な時、運賃債権確保の為、運送人が留置権を行使出来るか否か?

船荷証券の場合とSEA WAYBILLの場合では、全く、結果を異にします。

=船荷証券の場合=

船荷証券の場合は、流通有価証券ですので、券面上に記載された事項を信じた所持人(指図債権の譲受人)を保護し、船荷証券の流通性を高める為、特別の法的効力が与えられています。具体的に言うと、

(1)内航海上運送に準用される商法の規定(572条)は、次の様に規定していますし、

572条(貨物引換証‐文言証券性)

「貨物引換証を作りたる時は運送に関する事項は運送人と所持人との間に於いては貨物引換証の定むる所に依る。」この意味する所は、運送人と荷送人との間に於いては、船荷証券は運送契約の“一つの”証憑に過ぎないが(例えば、たとえ“FREIGHT PREPAID”と記載されていても、実際には運賃未払いの場合は、 荷送人は運賃支払義務を負う。)船荷証券が荷送人の手を離れ「船荷証券所持人」に移転した場合、運送人と所持人との間では、証券に記載された文言のみに依る。(従って、もし船荷証券に“FREIGHT PREPAID”と記載されている場合には、例え実際には運賃未収であっても、運送人は、船荷証券所持人に対しては 、その事実を主張出来ず、従って、未収運賃を理由とする「留置権」も主張出来ません。)

 

 

 

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