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4-2.運送・荷渡し等に際しての注意事項他

 

Q4-2-2:船荷証券が発行されている場合、船荷証券によらない運送品の処分は出来ないと聞いていますが、電子B/Lの場合はどうでしょう?

船荷証券には、国際海上物品運送法10条により商法573条が準用されます。

商法573条

「貨物引換証を作りたるときは運送品に関する処分は貨物引換証を以ってするに非らざれば、之を為すことを得ず。」

ここに言う「運送品の処分」とは、運送品の返還・運送の中止・仕向地の変更等の運送人に対する債権的処分のみならず、運送品の所有権の移転・質権の設定などの物権的処分も含まれています。

この規定は、動産物権の変動に関する民法の「意思主義の原則」(民法176条)に対する例外であり、この結果、船荷証券の適法な所持人で無い限り、運送品の処分は出来ないことになります。

それに対し、電子B/Lは船荷証券では無く、たとえ電子B/Lが有っても、それ以外の方法で「運送品の処分」をすることは許されるとの主張が出て来る可能性も有り、その点で、電子B/Lの譲受人の立場は、船荷証券の場合に比して、少し厄介なものになる可能性は有ると思います。

尤も、現在の通説・判例では、船荷証券が発行されているにも拘わらず、船荷証券によらずに直接に運送品が処分された場合でも、運送品の引渡を受けたものが、船荷証券の発行に関し、善意・無過失であり、即時取得(民法192条)の要件を満たすならば、この処分が船荷証券に優先し、直接運送品の引渡を受けた者は、運送品の物権を取得するとされています。

 

 

 

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