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4]電子裏書を導入したこと、

5]船荷証券発行請求権を認めていること。

これによって、NCITDの電子船荷証券を採用する場合に、現行の紙の船荷証券を使用しなくても、権利移転は可能となり、運送人に記録されている最後の荷受人が到着した物品の引渡を請求することができます。

しかし、このシステムは米国ではあまり注目されませんでした。その理由として、

1]管理機関が単一の中央登録機関でないため、情報管理の効率性を欠くこと、

2]システムの故障等の場合におけるリスクの配分を含む責任に関する規定が不明確であること等が指摘され、この方式は、企業内取引あるいは船会社に密接な関係をもつ企業間の取引の場合を除いて、広く一般には受け入れられないであろうという結論に達しました。

 

1-3. 概念

 

Q1-3-1:船荷証券(権原証券)の概念について、英国、米国および日本の間に見られる相違点について教えて下さい。

英国における船荷証券の概念

イ.コモン・ロー上の概念と制定法上の概念

船荷証券は権原証券(Document of Title to Goods)であると言われますが“Document of Title to Goods”は、コモン・ロー上(狭義)と制定法上(広義)の2つの意味で使用されています。

コモン・ロー上、判例に基づく明確な定義はないのですが、“Document of Title to Goods”とは、物品を表彰する証券で、その譲渡が物品の推定的占有(the constructive possession of goods)の移転として機能し、また、物品の所有権の移転としても機能することができるものです。1787年のLickbarrow v. Mason 事件(注1) の判決において、「物品が『指図人もしくは譲受人(to order or assigns) に引き渡されるべく船積みされた』と記載されている船荷証券は、その所持人に対して当該証券の譲渡により当該物品の所有権を譲受人に移転させることができる」という商慣習法 (custom of merchants)を認めました。また、船荷証券を担保として提供することは、物品を担保として提供した効果を生じる旨の判決があります(注2)

 

 

 

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