日本財団 図書館


91年制定の『総合陸上交通効率化法』(ISTEA)を引き継いだ陸上交通に係わる最新の法律だが、前法より自転車関連プロジェクトへの補助事業を一段と強化、自動車だけではないバランスのとれた交通体系の実現をめざしている。

94年の運輸省発行の『米国自転車・歩行者研究』が掲げる「歩行及び自転車による分担比率を倍増させる」「自転車・歩行者事故を10%減らす」のが目標。連邦交通局(FTA)が所管する。

TEA-21関連の連邦政府予算は6年間で総額2,180億ドル。このうち自転車関係は20億ドルが確保されている。ISTEA時代の予算の50%増、過去40年間の連邦予算支出の2倍に相当する。また、自転車と他の交通機関とを連携させる事業には、FTA、FHWA(連邦高速道路局)の予算も活用でき、州、自治体、関係団体に対して前例がないほどの規模の予算と融通性を認めている。

2) 自転車と鉄道サービス(実施例)

どの鉄道会社も自転車にあるていどの便宜を提供しているが、列車内に自転車ラックシステムを設けているケースは少なく、朝夕のラッシュ時に持ち込みを認めない路線が多い。アクセスポイントが少ないのも課題になっている。

a.カルトレイン(カリフォルニア州)

米国での代表例。サンフランシスコ〜シリコンバレー間、110キロメートルの路線で、自転車利用者は1日約2,000人。1992年のサービス開始時には各列車4台分のスペースしかなかった、24台分を収容する専用車両も。2台を連結、48台を運ぶ列車もある。初期投資の60,000ドルは、サンフランシスコ郡と鉄道会社が折半負担。利用客の増加によって6カ月以内に回収したという。発駅・着駅の2台分のロッカーを1台分の料金での貸し出すサービスも実施している。

b.WATA(ワシントン首都圏地域交通局)

自転車の持ち込みに特別の許可が必要だったが、1998年から平日は混雑時を除いて、土日(休日)は人出が多い独立記念日や大型イベントのある日を除いて持ち込みOK。車内には特別な設備はなく、出入り口周辺に1車両2台まで持ち込める。三輪車、訓練用自転車は不可。16歳以下の場合、大人の付き添いが必要。自転車ロッカーは鍵保管料10ドルに加え半年45ドル、1年70ドル。

c.BART(サンフランシスコ地域の高速通勤列車網)

98年6月から一部路線を除き混雑時(午前6時30分〜9時、午後3時30分〜6時30分)の持ち込みを認めた。

d.MAX(オレゴン州ポートランド)

自転車を車内に持ち込む前に、許可を必要とする数少ない鉄道の一つ。許可を得るには5ドルが必要。安全及び取り扱いのビデオ(8分間)を見なくてはならない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION