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3.4 観測データの処理方法

 

本報告書に示した図表類のデータは、次のようにして得られたものである。

なお、水温、塩分のデータは水温塩分測定装置による5分間隔のデータから、大気・海水の二酸化炭素の測定時のデータを抜粋したものである。

3.4.1 大気・海水の二酸化炭素測定のデータ処理

大気・海水の二酸化炭素の濃度を測定するための標準として、日本酸素株式会社製の二酸化炭素標準ガスを使用した。二酸化炭素測定装置による測定は、1時間に1回のサイクルで、二酸化炭素標準ガス(4種類を各1回)、大気(2回)、海水(1回)、大気(1回)の順に繰り返し行われる。標準ガスの分析計出力と濃度の関係について最小自乗法により、2次曲線の検量線を作成し、大気・海水の試料ガスの濃度を算出した。さらに、補正として以下のことを実施した。

(1) 標準ガスの二酸化炭素濃度は気象庁で「WMO mole fraction scale」により検定を実施した。また、その検定は船舶に搭載する前後に実施して、各航海毎に標準ガスの二酸化炭素濃度を補正した(船舶に搭載する前後の濃度変化は0.1ppmv以内の小さい値であった)。

搭載前後の濃度変化が時間経過に対し直線的に生じたものと仮定して、各航海開始日における標準ガスの二酸化炭素濃度(補正された値)を直線内挿して求めた。

(2) 測定のシーケンスは1時間に1回のサイクルで、標準ガス(4種類の濃度を1組として各1回)、大気(2回)、海水(1回)、大気(1回)の順に繰り返し行われる。初めの標準ガスの測定から、次のサイクルの標準ガスの測定までに、1時間の時間経過があり、分析計の感度変化(ドリフト)が生じることがあるため、分析計の感度変化は時間経過に対し直線的に生じたものと仮定して次の補正を行った。

大気(2回)、海水(1回)、大気(1回)の測定前後2組の標準ガス(4種類1組)の分析計の出力変化を、時間経過に対して直線的に内挿して、大気(2回)、海水(1回)、大気(1回)の各測定時毎に対応する標準ガスの出力値を計算により求めた。計算により求めた標準ガスの出力値と標準ガスの二酸化炭素濃度の検量線を作成して、1サイクル中の大気(2回)、海水(1回)、大気(1回)の二酸化炭素濃度を算出した。

(3) 大気・海水の二酸化炭素の濃度が標準ガスの濃度範囲を超える場合は、作成した検量線の外挿値により算出した。

(4) 大気の二酸化炭素濃度については、アナログチャートの記録等を確認して、本船の煙突の煙による汚染等、測定上、明らかに問題があったデータは削除した。

 

 

 

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