日本財団 図書館


4.2 新海上交通システム導入の費用対効果に関する検討

 

現在、我が国では荷主にとって利便性の高いサービスを提供することができるトラック輸送を中心とした物流体系が形成されている。これは海運、鉄道等他の輸送機関を利用せざるを得ない大量輸送が原則の原材料貨物等を除けば、Door to Doorサービス、短時間輸送等のニーズに即応できる利便性が評価された結果であり、荷主側のこうしたニーズの要請は今後も継続するものと考えられる。しかしながら、トラックを主体とした物流体系は排気ガスによる環境問題を惹起し、また、近未来の若年労働力減少や労働時間の短縮等の労働環境問題が制約要因として顕在化してきていることは否めない。

これらの制約要因を克服していくためには、我が国全体として過度にトラック輸送に依存することの無い輸送体系を構築していくことが不可欠であり、そのためのインフラ整備が望まれるところである。

4.2.1 費用対効果の考え方

本項における費用対効果の考え方については、前章までにおいて検討した、以下の2点、

1] 新海上交通システムの構築

2] 次世代港湾に対する提言の実現

等に対する投資は、上述の環境問題、労働環境問題等を踏まえた我が国全体の物流体系の再構築に効を奏するものとして取りまとめを行うものとした。

4.2.2 新海上交通システム導入の効果

新海上交通システムの導入効果については以下が考えられる。

(1) 環境問題

1] 地球温暖化の原因の一つとされているCO2の排出抑制につながる。トラック輸送と海上輸送との比較において、CO2削減率は以下のとおりである。

1) 九州〜南関東航路:

30%〜40%程度

2) 九州〜関西航路:

消席率50%の場合では5%〜10%程度

消席率70%の場合では25%〜30%程度

2] 貨物の海上シフトにより道路走行トラック台数が減少し交通渋滞が緩和できるとともに市街地における排気ガスの削減に効果がある。

3] 大量輸送による化石燃料の節減効果

(2) 労働環境問題

大量輸送が可能な海上輸送の採用により以下の労働環境上の制約を緩和させることが可能となる。

1] 少子化に伴う若年労働力減少

2] 労働時間の短縮

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION