日本財団 図書館


7. 海上交通施設の施設整備のあり方の提言

 

7-1. 各施設項目において必要な設備

 

7-1-1. 必要な設備

 

1. 背景及び目的で記述したように、高齢者・障害者等にとって望ましい海上交通とは、介助者の手を借りず独力で、安全、円滑かつ快適に移動できる海上交通である。しかし、海上交通は、鉄道等の他モードの施設と比較して、フェリー・旅客船等の船種、船舶の規模等の違い、地形、海象や潮位の変化、波浪による揺れなどの特有の要因が存在するため、現状の技術では高齢者・障害者等が介助者の手を借りず独力で、安全、円滑かつ快適に移動することが困難である。

例えば、陸上施設から浮き桟橋に渡る連絡橋や岩壁から船舶に渡るタラップは、潮位の影響を受けるため、『干潮時や満潮時には、傾斜が大きくなり車いす使用者が独力で利用できない場合』や『荒天時にはタラップのゆれが大きく、高齢者や肢体障害者、視覚障害者が介助者なしで渡ることは極めて危険な場合』等、介助者が必要と考えられるケースがある。

本提言は、既に策定されている他モードのガイドラインをふまえ、基本方向及び対象とする人々とその移動特性、対象とする施設、行程、海上交通の主要な問題点と上述の海上交通特有の要因を考慮しつつ、高齢者・障害者さらには妊産婦や小さな子供を連れている人、大きな荷物を持った人や外国人など移動に何らかの制約を受ける人を含む全ての人が安全、円滑かつ快適に利用できる、実現可能な海上交通のあり方を具体的に提言するものである。

 

以上を踏まえて、施設別、行程別、障害種別の海上交通においてバリアフリー整備上で必要と考えられる設備について以下に示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION