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4-4-4. ターミナルの問題点の整理

 

4-4-4-1. ターミナルとターミナル・船舶間アプローチの区分の必要性

 

今回の調査結果によれば、旅客船ターミナルから船舶に乗船する場合に多くのケースでは旅客船ターミナルと船舶の間に何らかのアプローチを使用していた。

調査企画段階では、例えば大型船舶ではボーディングブリッヂを使用する等ターミナル・船舶間のアプローチと就航船舶の規模との間に一定の関係があると仮定して、ターミナルと一体として捉えることで実地調査を実施した。

しかし、調査の結果、ターミナル・船舶間のアプローチについては、就航船舶の規模のみに対応しておらず、次のような要因も関係していることがわかった。

 

1]港湾の地形や海象の影響

離島地域においては、地形や海象の影響から急峻な地形の場所や直接海に突出した場所等、本土に比較して地形条件の厳しい場所に港湾が設置されているケースも多い。

こうした、地形条件の悪い地域では、大型船用の旅客船ターミナルであっても、ボーディングブリッヂを設置することができず、岸壁からタラップを使用したり、浮き桟橋を使用しているケースがみられた。

2]複数の種類の船舶が就航しているケース

旅客船ターミナルでは、複数の航路が就航しており航路ごとに大型フェリーと小型の高速艇等複数の種類の船舶が就航しているケースや単一の航路であっても複数の種類の船舶が就航しているケース等が数多く見られた。

こうした場合、同一の旅客船ターミナルにおいても、船舶の規模(大型・中型・小型)や船種(フェリー・旅客船・高速船等)によって使用するターミナル・船舶間のアプローチも異なるケースが多い。(例: 大型船はボーディングブリッヂ、小型船はタラップ等)

3]旅客船ターミナルの利用者数

複数の寄港地を結ぶ航路等においては、寄港地によって利用者数が異なるケースも多い。例えば、群島の本島のターミナルと属島のターミナルでは、当然利用者数に大きな差があることが想定される。利用者数の多い本島のターミナルにおいては、ターミナル・船舶間アプローチとしてボーディングブリッヂを使用しているが、利用者数の少ない属島のターミナルにおいては、ターミナル・船舶間アプローチとしてタラップを使用しているケースがみられた。

 

こうしたことより、ターミナル・船舶間アプローチは必ずしも旅客船ターミナルの規模と相関関係がないと考えられる。

 

 

 

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