日本財団 図書館


4-4-2. 海上交通における主要な問題点

 

4-4-2-1. 海象、気象上の問題点

 

4-4-2-1-1. ゆれ

 

海上交通特有の問題点として波の影響により生じる問題であり、ゆれの問題は、停泊中のゆれと航行中のゆれに分類される。

停泊中のゆれは、さらにゆれ自体の問題とゆれに起因する段差の発生の問題に分けられる。

停泊中のゆれ自体の問題とは、旅客船への乗降の際に旅客船ターミナルからターミナル・船舶間アプローチに乗り移り、さらに旅客船に乗り移った上で、着席するという動線の中でゆれの影響により高齢者・障害者等が転倒、海への転落等の危険があり、安全かつ円滑に移動できないといった問題である。

停泊中のゆれに起因する段差の問題とは、ターミナル・船舶間のアプローチにタラップ等を使用している場合、船舶のゆれの影響を考慮してタラップの設置部分を可動式キャスター等を使用している例が多く、キャスター設置部に50mm〜100mm程度の段差が発生する問題である。

航行中のゆれの問題については、航行中にトイレやデッキに出て景色を楽しむ等の様々な副次的行程において、船内を移動する際に、ゆれの影響により安全かつ円滑な移動が困難になる場合があるという問題である。

 

4-4-2-1-2. 潮位

 

海上交通特有の問題点として潮位の問題がある。

旅客船ターミナルの一部においては、ターミナル・船舶間のアプローチに浮き桟橋を活用しているが、干潮時や満潮時に岸壁と浮き桟橋との連絡橋部分の斜度が極めて大きくなるという問題がある。

また、岸壁からタラップ、ボーディングブリッヂ等のターミナル・船舶間のアプローチを使用するケースでは、同一の旅客船ターミナルであっても干潮時と満潮時に異なる舷門を使用する必要があり、それぞれの舷門をバリアフリー対応する必要がある。さらに、干潮時や満潮時に乗降用タラップの斜度が極めて大きくなる等の問題がある。

 

4-4-2-1-3. 海水等の影響

 

海上特有の問題として海水等の影響の問題もある。

海水等の影響の問題は、さらに海水による濡れに伴う問題と塩害の問題とに分けられる。

まず、濡れの問題とは、海上交通施設のうち、屋外部分(船舶のデッキ等も含む)では、海面に近い部分にあるため、雨天時や積雪時以外においても波しぶき等により常時海水にさらされている場合がある。このため、陸上施設以上に濡れにより床面が滑りやすくなり、高齢者や障害者等の移動時にすべって転倒する等の危険があるという問題である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION