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4. 実地調査

 

4-1. 船舶、ターミナルの分類方法の検討

 

4-1-1. 海上交通の多様性と船舶、ターミナル分類の必要性

 

海上交通に使用される船舶の種類は、20t程度の小規模の船舶から、高速船、小規模のフェリー、大型の旅客船、大型のフェリーまでと鉄道、バス等の他のモードと比較して多様性に富んでおり、船舶の構造についても各航路の海象、気象の特性によって大きく異なっている。また、航路の利用目的についても離島等と本土との間を結び離島等の住民の生活のために利用される航路から、観光を目的とした航路、長距離フェリーのような船旅自体を楽しむための航路まで多種多様である。さらに、乗船時間についても10分程度の航路から10時間以上を要する航路まで多種多様である。

一方、ターミナルについては、港湾の地形、海象、気象等の影響や潮汐の影響等により設置可能な設備が異なることが予想される。また、就航する船舶の規模の違いによっても設備が異なることが考えられる。

このように海上交通は、船種や規模の違い、航路ごとの海象や気象の違い、利用目的、乗船時間の違い等の多様性を持っているため、バリアフリー施設の整備を行っていく上でも、これらの違いによって必要とされる施設が異なるケースがあるものと考えられる。

以上から、海上交通のバリアフリーの実地調査を実施するにあたっては、こうした海上交通の多様性を考慮し、対象とする船舶・ターミナルをあらかじめ分類基準に基づき分類する必要があると考えられる。

 

4-1-2. 船舶の分類基準の検討

 

海上交通のバリアフリー整備の上で必要な施設を検討する上での、船舶の分類基準については、1]船舶の規模による分類、2]船種による分類、3]利用目的による分類、4]乗船時間による分類といった方法が考えられる。

それぞれの方法による分類について以下の通り検討を行った。

 

1]船舶の規模による分類

 

船舶の規模は、20tクラスの小型船から10,000t以上の大型船まで多種多様であるが、概ね規模の違いによって船舶の構造も異なってくるものと考えられる。

例えば、20t程度の小型船においては、旅客室は一甲板であるケースが多く、規模が大きくなるに従って複数の甲板を持つケースが多くなると考えられる。複数の甲板を持つ船舶においては、船内において水平移動だけではなく垂直移動が必要となるため、車いす使用者等にはエレベーター等の垂直移動機器が必要になると考えられる。しかし、小型の船舶において、エレベーター等の重量のある機器を設置する場合には、船舶の復元性等についても考慮する必要もあると考えられる。

 

 

 

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