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3. 海外の海上交通のパリアフリー整備に関するガイドラインの整理

 

3-1. 海外の海上交通のバリアフリー整備に関するガイドラインの背景と思想

 

3-1-1. IMOのガイドライン

 

IMO(The International Maritime Organization、国際海事機関)とは、1958年に設立された国連の専門機関の1つであり、1982年に現在の名称となった。海運に影響のある全ての種類の技術的事項に対する政府の規制及び慣行の分野において、政府間の協力のための機構となり、海上安全及び航行の能率に関わる事項について実行可能な最高基準が一般に採用されることを奨励し、かつ促進している。

IMOの提案している基準の思想は、移動制約者の緊急時の移動や公共スペースの移動に配慮することを目指したものである。この思想に基づき、船舶デザイン・設備小委員会が作成したガイドライン案、"RECOMMENDATION ON THE DESIGN AND OPERATION OF PASSENGER SHIPS TO RESPOND TO ELDERLY AND DISABLED PERSON'S NEEDS"が1996年6月に海上安全委員会(MSC)で承認された。

 

3-1-2. イギリスの海上交通ガイドライン

 

イギリスには環境・運輸・地域省に交通関係のバリアフリーを扱う組織"Mobility Unit"が存在する。さらに、バリアフリーに関する交通政策について"Mobility Unit"に助言する機関(法的根拠を有する助言機関)"The Disabled Persons Transport Advisory Committee(DPTAC)"が存在する。イギリスの海上交通ガイドライン、"GUIDANCE ON THE DESIGN OF LARGE PASSENGER SHIPS AND PASSENGER INFRASTRUCTURE-MEETING THE NEEDS OF DISABLED PEOPLE"はこのDPTACが草稿を作成しており、2000年4月に法的拘束力を有しない政府によるガイダンスとして公表される予定である。

DPTACはIMOのガイドラインの作成にも参画しているが、イギリスのガイドラインは、IMOよりも一層広い範囲の高齢者、障害者のニーズを扱うガイドラインを目指して作成されている。

 

3-1-3. オーストラリアの海上交通ガイドライン

 

オーストラリアには、障害者の差別を禁じた法律に基づき、人権と機会均等委員会が策定し、Australian Transport Councilが1996年6月に発行したガイドライン、"Disability Standards for Accessible Public Transport"がある。

当ガイドラインにおける原則として以下の3点があげられている。

1]公共交通機関から、障害者がその障害故に差別されることをできる限りなくす。

2]法の下において障害者が健常者と平等の権利を持つことを保証する。

3]社会において障害者が健常者と同じ基礎的な権利をもつことの認知と受け入れを促進する。

 

 

 

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