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2.2 荷重条件の設定

腰丈式ホームドアの水平方向に作用する荷重を設定するに当たり、駅設備等の荷重条件を調査し、旅客のホーム上での動きなどから、試作開発腰丈式ホームドアの水平荷重条件を設定した。

なお、腰丈式ホームドアに働く水平荷重には、人の行動による荷重と屋外設置の場合の風荷重がある。風荷重の計算については既に規定されたものがあり、別途設定されるものとし、ここでは旅客の行動による荷重について検討した。

 

2.2.1 水平荷重の検討

(1) 関連規準値

鉄道に関する規準値として橋上駅の壁、手摺りの強度、およびモノレールのホーム前面柵の強度がある。

橋上駅の壁、手摺りの強度は、「橋上駅設計指針」昭和61年、日本国有鉄道、「乗換こ線橋設計指針」(財)鉄道総合技術研究所において、通路側壁、突き当たり部分の壁および手摺りの荷重について規定されている。

側壁、側手摺りでは980N/m(100kgf/m)、突き当たり部分の壁、突き当たり部分の手摺りでは2450N/m(250kgf/m)となっており、通路の側部と突き当たり部では数値が異なっている。

モノレールのホーム前面柵は、「モノレール構造物設計指針」昭和50年3月、日本道路協会・モノレール構造基準調査特別委員会において、980N/m(100kgf/m)の水平荷重が働くものとして設計されている。但し、ホーム前面柵は、白線や柵で危険箇所であることを示するためのもので、高欄のように直接的に危険から防護するための設備ではないとして取り扱われている。

上記の規準の抜粋を巻末の参考資料(1)に示す。

(2) 腰丈式ホームドアと旅客の位置関係の検討

「橋上駅設計指針」「乗換こ線橋設計指針」の数値を採用する場合には、腰丈式ホームドアを通路の側部と扱うか通路の突き当たり部として扱うかにより基準値が異なる。

(a) ホーム上移動時

ホーム上の旅客の行動は通常次の行動となる。

・ホーム上を移動時には線路と平行方向に移動。

・車両への乗降時に線路と直角方向に移動。

このことからは、ホーム上移動時にはホームドアは側圧を受けるものとして扱える。

(b) 乗降時

車両乗降時はホームドアは突き当たり面となる。

しかし、列車停止時に万が一旅客の突き当たりにより腰丈式ホームドアに変形が生じても転落する危険はなく、旅客の安全上からは突き当たり面として扱わなくても差し支えないと考えられる。但し、変形等による列車運行の乱れには考慮を要する。

 

 

 

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