(2)物流拠点に関する施策の動向
1]物流拠点の整備を進める上での指針
「総合物流施策大綱」を踏まえ、関係省庁で構成する総合物流施策推進会議は、平成10年(1998年)6月、「物流拠点の整備を進める上での指針」を策定・公表した。
同指針では、物流拠点の定義を「物流の過程において、貨物の積卸し、保管、荷さばき、流通加工等のサービスを提供している地区またはそれらの機能を果たしている施設を指す」とした上で、物流拠点整備にあたっての基本的な方向、今後の物流拠点整備方策のあり方を示している。
物流拠点整備にあたっての基本的な方向のうち、まず、物流拠点に求められる役割として、以下の各点をあげている。
□物流効率化・高度化の促進
物流サービスの結節点である物流拠点を整備することにより、物流コストの低減、物流サービスレベルの向上を促進する役割
□物流システムの構造変革への対応
高度化・多様化する物流へのニーズに対して、物流活動のトータルな連携等による物流システムの構造変革に対応する役割
□物流をめぐる社会的課題への対応
物流拠点の整備により、効率的な物流システムを構築し、地球環境問題、交通渋滞、労働力問題等の社会的な問題を改善する役割
□分野別問題への対応
*都市内物流に係る問題への対応
*地域間物流に係る問題への対応
*国際物流に係る問題への対応
物流拠点に求められる役割に照らしつつ、今後特に重点的に整備していくべき物流拠点の機能類型として、以下のものをあげている。これらの機能類型は、普通倉庫、冷蔵倉庫、トラックターミナルといった従来の事業制度による施設分類ではなく、物流拠点の機能に着目した新しい考え方である。特に、本調査における国内・国際海上輸送網との関連では、「広域物流への対応を行う物流拠点」「輸入等国際物流への対応を行う物流拠点」に着目する必要性が高い。
I. 流通効率化への対応を行う物流拠点
企業の物流諸活動の一元化や多数の貨物を効率的に処理する機能など流通効率
化に対応する物流拠点。
1]役割
物流システムの構造変革に対応しながら、調達、販売物流等一連の物流活動をトータルに連携させて物流システム全体の最適化を志向し効率化を図ることによって、物流コストの低減、物流サービスレベルの向上、労働力の削減、交通及び環境負荷の低減を促進する。
2]立地条件