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第1章 調査の概要

 

1. 調査の背景と目的

宮崎県下では、重要港湾である宮崎港および細島港において、従来から阪神および京浜との間に長距離フェリーが就航するなど、海上輸送が国内幹線輸送の一翼を担っている。また、細島港にあっては、平成5年から韓国、台湾との間に国際航路が開設され、外貿コンテナ貨物を取り扱っている。

宮崎港は、九州縦貫自動車道と直結する陸上交通面の優位性を有し、平成12年を目標年次として大型船舶の就航可能な港湾整備が進められていることから、南九州と関東、関西方面を結ぶ海陸輸送体系の結節点として、ますます重要な役割を担うことが期待されている。また、細島港は、東九州自動車道や九州横断自動車道延岡線等の陸上交通網の整備に伴い、国内・国際両面における広域的な物流拠点としての役割を強化していくことが期待されている。さらに、油津港は大型船舶の就航可能な港湾整備などにより、県南部の物流拠点としての役割が期待されている。

一方、産業・生活の諸側面における物流への強い期待に応え、物流に関する総合的な取り組みを強化するため、平成9年4月に「総合物流施策大綱」が閣議決定された。その中で「地域間物流施策」として、マルチモーダル施策の推進を通じて、陸海空の輸送機関間の競争条件を整備し、複合一貫輸送の促進と環境負荷の削減を目指すこと、「国際物流施策」として、国際物流にかかる時間およびコストを削減し、内外価格差の是正および産業立地競争力の改善に寄与すること等の方向付けがなされている。また、平成10年6月には、「総合物流施策大綱」に基づく施策の一環として、総合物流施策推進会議が「物流拠点の整備を進める上での指針」を取りまとめた。

このような状況のもと、宮崎県下においても、地理的特性を踏まえ海上輸送を活用した物流効率化を促進する観点から、宮崎港、細島港および油津港を中心とした海上輸送網の充実と海陸の物流を円滑に接続する物流拠点の整備が重要な課題となってくる。

そこで本調査においては、南九州における物流実態を把握し、国内・国際海上輸送網のさらなる充実の方向を探り、海陸輸送の結節点である宮崎港・細島港・油津港を中心とした物流拠点整備のあり方を提言することにより、「総合物流施策大綱」の推進を図り、物流の高度化・効率化を促進するとともに、物流事業と地域経済の振興に寄与することを目的とする。

 

 

 

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