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全国婦人防火連合会研修会における講演録(要旨)

 

最近における消防防災行政の動向と課題

日本消防検定協会理事長 佐野 徹治

 

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佐野でございます。ご紹介をいただきましたように、私、引き続き消防の関係の仕事をすることになりましたことから、今日、皆さんとお話をする機会を与えられました。

タイトルにあるように、最近における消防防災行政の動向と課題ということで、お話申し上げたいと思います。

さて、平成10年3月7日は、自治体消防制度が発足いたしまして、満50年ということで記念式典が行われます。消防関係者にとりましても、50周年を迎えることは、非常に感慨深いものがあります。消防の仕事は、住民の生活に身近なものでありますので、その意味から自治体消防と言うのでありまして、昭和23年3月に消防組織法が施行され、消防は市町村の仕事と定められたわけであります。

昭和22年に新しい憲法が施行されて、国の行政或いは地方の行政の仕組みが大幅に改正されました。また、昭和22年地方自治法が制定されたのを受けて消防組織法が制定され、市町村は消防の責任を有することになりました。

この50年を振り返りますと、昭和20年代からみて、現在の消防は、人員・施設・装備等の面で格段に大きく充実したものとなりました。50年という永い年月の間のいろいろな経験や教訓等を踏まえて、これからの消防の在り方を国民の方々と一緒になって考えようということで、昨年は懸賞論文を募集いたしましたり、各地でシンポジウムを開いたりいたしまして、そこでも大勢の方々のご意見等を沢山お聴かせいただき、消防について真剣に考えておられる方が相当居られることがわかりました。

ここで、消防のことに入る前に、地方分権ということについて、少しお話をしたいと思います。

地方分権推進法という法律に基づきまして、地方分権推進委員会が設けられ、地方に権限等をどのように移して行くかの議論をしております。地方分権は、申すまでもなく中央集権に対応するものでありますが、できるだけ地方団体に権限を委ねることによって、地方に責任を持たせそれぞれの地方の実情に合った形に行政の仕組みを変えて行こうというものであります。消防に関しては、昭和23年に既に地方分権が徹底されておりました。

消防の仕事は、その地域の人達の生命・身体・財産を守るという、地域に密接に関わりがある仕事でありますから、できるだけ地域に即した形で仕事ができる仕組みになっております。このように、制度としては消防は、市町村消防でありますが、皆様方の婦人防火クラブのような自主防災組織にありましては、その性格から、行政は積極的にPR等をすることにより、このような組織がより活発に活動できるように応援することになっております。

 

 

 

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