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3. 細菌の構造

 

微生物は深海底から大気圏上層部まで、地球表面の20km範囲に数多く存在していますが、その大きな部分を占める細菌について、構造を簡単に示してみます(図3-4)。

基本的な構造は次の3つです。

細胞壁(Cell Wall)

細胞質膜(Cytoplasmic Membrane)

細胞質(Cytoplasm)

細胞壁は一定の形状と硬さを保ち、浸透圧等の外界の影響から細菌を守る蛋白質の膜です。細胞質膜は壁より柔軟な蛋白質の膜で、この膜を通じて内部と外界との物質交換が行われます。

細胞質は細胞が生きて行くための代謝を行うための工場と言えるコロイド状のものです。この細胞質液の中に染色体(Chromosome)が漂うように浮んでいます。細菌の染色体は真核生物以上の高等生物のように明確な核状を示さないが、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)を主体とする蛋白質でできており、遺伝情報の伝達にあずかっています。

その他の構造として莢膜(Capsule)という粘稠な層を作る細菌もあるし、推進器としての鞭毛(Flagellium)や線毛(Fimbria)というドッキング用の道具を持っている細菌もあります。また細菌の中には、周囲の環境が発育に不向きになった時、芽胞(Spore)と球状体になるものもあります。

 

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図3-4 細菌の構造

 

 

 

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