日本財団 図書館


その意味で、新領海法3条の包括規定は刑法の基本原理との関係で問題を残しているように思われる。

 

[テ?

(1) 平成9年6月から平成10年8月の約1年間に新領海内で拿捕された韓国漁船は9隻にのぼるが、大半は略式裁判で50万円程度の罰金刑が確定しているとのことである。

(2) 新日韓漁業協定の発効に伴い、今後は、韓国漁船が我が国のEEZ内部で許可証を持たずに操業し「排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律」(以下「EZ漁業法」という)5条違反の罪(同法18条1号)に問われるケースが増大すると予想される。現に、新日韓漁業協定発効直後の平成11年1月24日、厳原海上保安部及び第七管区海上保安本部は、韓国漁船の3船長らをEEZ内の無許可操業などの疑いで逮捕している(朝日新聞平成11年1月24日朝刊)。

(3) 平成10年4月24日付の「意見書」及び同年5月15日付「弁論要旨」参照。

(4) 長崎地判平10・6・24 判時1648号158頁。なお、本判決を紹介したものとして、村田直幸「韓国大型トロール漁船『第三満久号』領海侵犯操業・公務執行妨害等事件」海上警備306号(平10)107頁以下がある。

(5) 松江地浜田支判平9・8・15 判時1656号59頁。

(6) 第909テドン号事件一審判決の評釈等として、坂元茂樹「新領海法施行をめぐる一考察─外国人漁業規制法違反事件について─」海洋法条約体制の進展と国内措置第2号(日本海洋協会、平10)23頁以下、中村洸「直線基線の設定により日本の領海となった海域における韓国漁船の取締りと裁判管轄権」平成九年度重要判例解説(平10)276頁以下、森本和明「我が国の周辺海域における外国人の漁業等を規制する法令」研修592号(平9)73頁以下、大塚裕史「我が国周辺海域における外国人漁業の取締り」新海洋法の展開と海上保安第2号(海上保安協会、平10)71頁以下。

(7) もっとも、弁護人は本判決を不服として福岡高裁に控訴した。

(8) 広島高松江支判平10・9・11 判時1656号56頁。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION