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(4) シンガポール港運営(株)(PSAC)と海事港湾庁(MPA)の内部組織とおもな役割

港湾庁(PSA)から営利をあげる港湾管理サービスを受け継ぎ、株式会社化したシンガポール港運営(株)の内部組織は、図表II-3-7のように開発グループとビジネスグループとに分かれている。1997年9月30日現在での従業員数は6,945人、人件費は26,500万シンガポールドル、子会社は海外のジョイントベンチャー事業を含めて22社(総投資額1億4千万シンガポールドル)、関連会社は21社にのぼる。

一方、港湾庁(PSA)から港湾に関する規制の権限を移管された海事港湾庁(MPA)の内部組織は、図表II-3-8のとおりである。組織は7つに分かれ、総務、情報技術、政策、港湾管理、海運、技術開発、およびトレーニング部門がある。1997年末現在で、職員数は536人。海事港湾庁の1997年12月31日付の経常収入は1億5千40万シンガポールドルで、おもな収入源は入港料と港湾サービスである。経常支出は7,660万シンガポールドルで、おもな支出項目は人件費、減価償却、管理費である。1997年度の税引き前経常利益は7,380万シンガポールドル、これに投資収益240万シンガポールドルを加え、Consolidated Fundへの20%納付金1,520万シンガポールドルを除くと純利益は6,090万シンガポールドルとなっている。

1997年9月30日、海事港湾庁はシンガポール港運営(株)に対して3つの免許、すなわちカーゴ・オペレーション、旅客ターミナル、パイロット・サービスおよび引船サービスの免許を交付した。海事港湾庁は、シンガポール港運営(株)が国際ハブ港であるシンガポール港のターミナル・オペレーターとして、効率的で競争力のあるトランシップメント・サービスを提供するように規制する立場にある。

 

2. 海外でのジョイントベンチャー

 

シンガポール港運営(株)の民営化、より正確に言えば「株式会社化」の背後には、港湾庁のままでは海外でのジョイントベンチャーを積極的に進めにくいので、港湾庁の規制主体としての機能を海事港湾庁へ移管し、事業主体としての機能をシンガポール港運営(株)に移管することにより役割を分けたという経緯がある。インタビュー調査を行ったシンガポール港運営(株) 広報室幹部によれば、「港湾庁時代の『PSA』の暖簾を活かし、世界の主要港にPSAブランドを輸出してグローバル・ネットワークをつくること」が、海外でのジョイントベンチャーの戦略的な目標とされている。

港湾とその背後地の利用方法について、同社は以下のような見解を持っている。1]シンガポール港運営(株)は港湾建設には関心がない。

 

 

 

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