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図表II-2-20 HPHの多国籍港湾ターミナル・オペレーター化

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出所:Bascombe, Adrian., (1998) "Battle stations" in Containarisation International, May.

 

2] 民間コンテナ・ターミナル・オペレーターの多国籍港湾ターミナル・オペレーター化

現在、香港の民間コンテナ・ターミナル・オペレーターのうち実質上、4社とも多国籍港湾ターミナル・オペレーター 化している。

HITは中国本土に塩田港や上海港等にコンテナ・ターミナル会社を、珠江デルタ地帯や華南地域には厦門や珠江等6港に水上フィーダー網用の施設を持つHutchison Delta Portを、さらに海外では欧州地域の持株会社としてHutchison Port Holding (Europe) Ltd.とその傘下にフェリックストウ港(イギリス)等を、その他にもインドネシア、ミャンマー、バハマ、米国などにコンテナ・ターミナル会社や物流関連企業を多数保有し経営している。先に述べた塩田港の急成長の背景には、HPHの塩田港進出がある。COSCO-HITがHITの子会社であることは前述した通りである。

MTLは蛇口港にP&Oとともに合弁企業を設立し、ターミナル整備・運営を行うなど、中国沿岸部諸港湾への進出をはじめている。その他、Sea-Landも塩田港や天津港に進出している。

 

2) Multi-Port Terminals Corporation化の背景

1] コンテナ物流需要の地方分散

日本と他の東アジア諸国との関係と同様に、中国においても産業の空間的分散にともなってコンテナ物流需要が地方に分散しつつあることは今まで見てきた通りである。そして改革開放体制下での中国においては経済活動における地方分権が進展してきた。いわゆる「放権譲利」である。地方分権の進展は各地方政府による独自の港湾政策の展開をももたらし、多くの地方港がコンテナ港湾として整備されつつある。そうした中、従来、コンテナ港湾のハード、ソフトともに立ち遅れていた中国内新興コンテナ港湾の整備・管理・運営を実質的に担っているのが香港の民間コンテナ・ターミナル・オペレーターをはじめとする中国以外のコンテナ・ターミナル・オペレーター(例えば、シンガポールのPSACなど)である。これらターミナル・オペレーターの中国港湾への進出なしには、中国内新興コンテナ港湾の急速な台頭はありえなかったと言っても過言ではない。

香港をはじめとする海外の民間コンテナ・ターミナル・オペレーターはコンテナ物流需要の空間的分散に対応してMulti-Port Terminals Corporation化しなければ、香港等の従来の拠点港湾だけで今後、十分な集荷を行うことは困難であると判断し始めている。

 

 

 

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