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韓国コンテナ埠頭公団(KCTA)設立前には、すべての港湾収入は政府一般会計に繰り入れられていたが、この制度では当時KMPAであった港湾当局が自由裁量をもって柔軟に資金配分を行うことができず、全額を港湾投資に充てることも難しかった。他の交通インフラと比べても港湾予算の自立性が小さかった。このため必要規模に比べて投資が縮小されたり、適切なタイミングに対して投資時期が遅れたりしていた。この問題の解決のために、コンテナ・ターミナルの管理組織を政府本体から独立させ、KCTAが設立された(KCTAの組織については、(図表II-1-2参照)。

 

図表II-1-2 韓国コンテナ埠頭公団(KCTA)の組織

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KCTAは、資産の購入・売却、一定の他事業への投資、外資を含めた市中銀行からの借入、後述のコンテナ・ターミナル開発債の発行、ならびに施設利用料の賦課の権限を有している。なお防波堤や水域施設への投資分については、政府が直接に入港料として船社から徴収している。KCTAはわが国の外貿埠頭公団を模して設立されたものであるが、わが国の公団とは異なり解散規定はない。ただし設立から20年後に公団を公社に改組する規定があるとのことである。

KCTAの役割は、政府の輸出入貨物需要予測による中期・長期全国港湾開発計画に基づいた複数港にわたる計画の策定と実行にある。韓国海洋水産開発院(KMI)の予測では、予測貨物量は2001年に年間986万TEU、2011年に1,923万TEU、2020年に3,006万TEUであり、それぞれ46、105、174バースが必要とされている。

後述のヤンサン・インランド・デポ計画を例外として、KCTAは港湾本体のみに関与し、臨港運輸施設、複合輸送用施設、あるいはインランド・デポには関与しない。現在、これらの施設については交通環境省の管轄となっている。

 

 

 

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