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図表I-3-10 完全合併経営の下での輸出物流行動の評価

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(注) 合併経営タイプ別行動関数の計測結果については、図表I-3-6、I-3-9を参照のこと。

 

したがって完全合併によって、大阪港の輸出物流は、経済的要因のみならず、戦略要因にまで及ぶ広範な機能改善によって大きく促進される。一方神戸港においては、完全合併による経済的要因の改善に限れば、神戸港型合併経営のケース(これは基本的には、現行経営、事業部制的経営の成果とトレードオフ関係にある)にほぼ等しいが、しかし同時に戦略要因が大きく改善するのみならず、神戸港の集中度の低下の速度を緩慢に抑えることができる。完全合併経営は、神戸港と大阪港の発展をニュー・ステージへと転位させ、新たな発展軌道に乗せる可能性がある。

 

4.結語

 

神戸港と大阪港の発展という視点より、両港の好ましい連携のあり方を考察した前節の結論は、完全合併経営を誰が遂行するのかについては触れていない。この問題は、本章の取り扱う範囲外にある。港湾管理のあり方については様々な議論が有り、本調査報告書においては後段部分においてこの問題をとりあげているし、また海外調査報告部分においてふれているので、その議論を参考にしていただきたい。

また両港の好ましい連携のあり方を、専ら輸出物流の観点から論じたのは、提携戦略変数であるコンテナ化率という港湾サービス要因が輸入物流では有効ではなかったからである。ただ完全に合併した場合にもそうなるのかどうかについて、一言ふれておかねばならないであろう。

ここで、完全合併経営の下でのバーチュアルな輸入物流の決定の状況(推定結果の掲載は省略)が示されている。それを、現行の神戸港と大阪港の輸入物流行動(図表I-3-3とI-3-4参照)と比較すれば、現行経営を上回る完全合併経営の優位性を以下のように確認できる。

 

 

 

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