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製造業者、卸売業者、小売業者、物流業者が緊密に調整することで、最終消費者のニーズに対応することができる。顧客満足の増大は、ブランドシェアの増大につながる。

 

(5) グローバル規模でのサプライチェーン・マネジメント(SCM)

調達、生産、販売のグローバル化によって、SCMは地球規模で広がっている。SCMにおけるロジスティクス機能のアウトソーシングでグローバル化がその要因となったことが示されるように、ロジスティクス部門を中心としてSCMを連結した事例が数多く報告されている。

Bowersox(1990)は、ロジスティクスを中心とした企業間の連携をロジスティクス・アライアンスと呼び、次のような事例を報告している。

1] アメリカン・プレジデント社(APC)とフォード社

フォードは、鉄道輸送だけでなく、納入業者からの部品の集荷、在庫管理、情報処理をAPCにアウトソーシングした。APCは、フォードのためにミシガン州の部品工場からメキシコの組立工場までダブル・スタック・トレイン(DST)を利用して輸送する。そればかりでなく一括受託により、コンテナへの積み付けを取り出しの逆順にしたり、税関処理を効率化することが可能になり、国際輸送でもジャスト・イン・タイム輸送が可能になった。またフォードの協力により、メキシコのマキラドーラ地域での組立部品を帰り荷として輸送することができた。新たな提携のために、フォードはDST用に新たな鉄道ターミナルを整備し、APCはコンテナ専用クレーンを整備した。

2] サザンボンデッドウェアハウス(SBW)とジョージア社

食品会社のジョージア社は、販促商品の流通加工をサザンボンデッドウェアハウス(SBW)にアウトソーシングした。SBWは、米国製のガムの計量、包装、景品のサッカーボールの検査、ガムと景品のラップ包装、所定数をマスターカートンに入れラベル貼り、シーリングを一貫して行った。

3] メーシー百貨店とAPC、ユニオン・パシフィック鉄道

メーシー百貨店は、アジア地域からの衣料品の輸入でAPCとユニオン・パシフィック鉄道(UPR)と連携した。アジアで製造された衣料品は、メーシー百貨店への納入条件に合わせて色、サイズ別にハンガーのままコンテナに吊す。APCは、アジアから西海岸まで海上輸送し、西海岸でUPRのDSTに積み替えられる。UPRは、メーシーの倉庫まで輸送し、そこから各店舗に配送される。

 

2. 物流事業者の対応─サードパーティ・ロジスティクス(TPL)─

 

(1) ロジスティクス機能のアウトソーシング

異なる企業間を物理的に橋渡しするロジスティクス機能は、SCMで重要な役割を果たしている。自社内や物流子会社でロジスティクス機能を担う場合もあるが、アウトソーシングするケースが増えている。

 

 

 

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